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眼瞼下垂~第6章 : まぶたの持ち上がりを強くする際の注意点
一般的に眼瞼下垂の手術と言えば、まぶたの持ち上がりを強くする手術のことを指します。
どこに糸を通すかによって目の開きの大きさが変わってきます。また、開いた時の目の形も変わってきます。
眼瞼下垂~第6章 : まぶたの持ち上がりを強くする際の注意点 目次
よくみかける症例1:やたらと開きすぎる目
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未熟なドクターが起こしやすい症例は、とにかくまぶたの上がりがよくなればいいからと言って、患者さんの年齢や希望を考えずに、目の開きをやたらと強くしてしまうことです。
年配の方で目がギョロッとしていても、怖いだけで可愛げがありませんよね。
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また、ギョロ目を気にされるのは高齢の患者さんだけではありません。
次の患者さんは、まぶたが原因で肩凝りがあると診断されて大学病院で眼瞼下垂の手術を受けたそうです。
しかし、手術の後、目が見開いたようになって、黒目の上の白目が向いてしまうため、今度は違うクリニックでまぶたを下げる手術を受けたそうです。
そうしたところ、まぶたが下がったのはいいのですが、予想外の三重になってしまい、目の形も妙につり目っぽくなってしまったので、それらの修正のためにヴェリテクリニックに来られました。
よくみかける症例2:妙なつり目
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先ほどの患者さんが気にされていた、妙につり目っぽい目の形というのも、未熟なドクターが起こしやすい症例です。
つまり、まぶたの外ばかりが上がって内側が上がっていない目を作ってしまうことです。
まぶたを持ち上げる筋肉は内側の動きが弱くて外側の動きが強い。また、縫合固定する腱膜も内側は薄くて弱いが、外側は厚くてしっかりしている。そのため、手術をする時、まぶたの外側のほうが開きを強くしやすいのは事実です。
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また、正面を見た時黒目の中心はまぶたの中央よりも内側、つまり鼻に近いほうにあります。
それに気づかず、まぶたの中央にピークを作ると外側が上がった形になってしまいます。
こういった事情で妙なつり目を作りやすい傾向がありますが、それは術者のいいわけに過ぎません。
ドクターの注意と技術でいくらでもそれは防ぐことができます。
目の開きの大きさと形の調整
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まぶたの開きの大きさと形の調整は手術中に行います。
患者さんに起きあがってもらい、目を開いてその大きさと形を確かめながら、糸を通す位置を調整する必要があります。
私は満足な大きさと形になるまで何度でも調整を繰り返します。
左右差を防ぐ
手術中に左右差をそろえるのは肝心ですが、それだけでは十分ではありません。
1週間後の抜糸の時に、再度、目の大きさや形の左右差を確認します。というのは、術中には麻酔薬の影響があるからです。
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麻酔薬がまぶたを持ち上げる筋肉に作用しますと、目を持ち上げる力が弱くなります。
右と左の両方に同じように麻酔薬が効いているならいいのですが、片方の筋肉にだけ麻酔が強く働いていることもあります。
その状態で目の大きさを合わせると、麻酔の効果が切れた時に、麻酔が強く効いていた方の筋肉の力が強くなって、反対側より目の開きが大きくなります。
そのため、私は術後1週間の時点で明らかな左右差があれば、その場で修正します。
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2011年1月15日の日本美容外科学会の研究会でも、目の左右差を防ぐため、どんな工夫をしているのか何人もの先生方が発表されていました。
しかし、どれも完全なものではありませでした。
わたしとしては、術中にできるだけそろえる。また、1週間後に再度確認して必要なら修正する。それでも、その後に左右差ができた時は、3ヵ月後に修正する。
とにかくあきらめないことだと思います。
第7章は「切開法を用いた眼瞼下垂の手術」です。
眼瞼下垂の手術には、全切開法による二重まぶたの手術も含まれていてもれなく、二重が付いてくる・・・