眼瞼下垂~第3章 : 眼瞼下垂の治療法・皮膚のたるみタイプ
このタイプの治療は皮膚のたるみを減らすことです。
この目的にかなった手術として複数の対応策があります。どうやって使い分けたらいいのか、次に説明します。
眼瞼下垂~第2章 : 眼瞼下垂の3つのタイプ 目次
埋没法による二重の手術
ズボンが長すぎたらどうしますか?ズボンのスソを折りたたんで短くしますよね。
それと同じ要領で、二重を作ってまぶたを折りたたむと、垂れ下がった皮膚をたくし上げることができます。これには埋没法が一番おすすめです。
一重まぶたのために皮膚が垂れ下がっている人に対しては、埋没法で二重を作る治療が向いています。
皮膚の余りが多いケースでは、埋没法で二重を作ってもたるみが残って、奥二重になってしまいます。
それでも、埋没法をする前に比べたらかなり視野が広くなります。
全切開法による二重の手術
埋没法以上の変化を望むなら、全切開法で余った皮膚を切り捨てながら二重を作る必要があります。
これは、ズボンで言うなら、スソで余分な布を切り捨てたうえで折りたたむことになります。
全切開法を行うとたるみが少なくなり、くっきりした二重になります。
たるみが減って、くっきりした二重になるのは魅力的に聞こえますが、かなり目元の印象が変わりますので、慎重に選ぶ必要があります。
上眼瞼リフト
さて、二重にする他にたるみを取る方法はないのでしょうか?
もう一度ズボンで考えてみて下さい。スソを折りたたんだり、スソを切り捨てたりする代わりに、ウエストをお腹のほうに引き上げてもズボンの長さは調整できますね。
これに匹敵するのが、上眼瞼リフトです。
この手術はまゆ毛のすぐ下で皮膚を切り取って、上まぶたをまゆ毛に向かって引き上げるものです。
上眼瞼リフトの治療法は、たるみをクリップでつまみ、余った皮膚を切り取る範囲を決め、余った皮膚を切り取ります。
上眼瞼リフトは、まぶたが重いと感じている人にとってまぶたが軽くなるメリットがある治療法です。
先ほどの二重にする手術よりも、手術直後からメリットを認識することができます。
元もと二重まぶたでぱっちりしていたのに、老化によって皮膚がたるんで奥二重になった方にとって、上眼瞼リフトは目元の印象を大きく変えることなく、たるみを緩和できると言った利点があります。
また、一重まぶたから二重まぶたに変わることを嫌う方にもこの方法はお薦めです。
ブローリフト
上眼瞼リフトのほかにも、ズボンのウエストを持ち上げる治療法があります。
それはまゆ毛の下ではなくて、まゆ毛のすぐ上で皮膚を切り取る方法です。この手術はまゆ毛を持ち上げるリフト術です。
英語でまゆ毛のことをブローと言いますので、ブローリフトと呼ばれています。
まゆ毛を持ち上げるとそれにつながる上まぶたの皮膚も持ち上がってきますので、まぶたのたるみが減ります。
前額リフト
また、まゆ毛だけでなく、おでこ全体をリフトする手術(前額リフト)も、上まぶたのたるみを取るのに向いています。
ブローリフトや前額リフトも上眼瞼リフトと同様に目元の印象を大きく変えることなく、たるみを緩和できると言った利点があります。
しかし、上眼瞼リフトとは決定的な違いがあります。
それは、術後の顔の印象です。上眼瞼リフトでは、まゆ毛が下がって、まゆ毛と目の間が近くなります。
一方、ブローリフトや前額リフトでは、まゆ毛が持ち上がって、目から遠く離れてきます。
従って、上眼瞼リフトを選ぶか、ブローリフトや前額リフトを選ぶかは、まゆ毛が目に近づいたほうがいいのか、遠のいたほうがいいのかで決まります。
ここで注意しなければいけないことがあります。
皮膚のたるみタイプの患者さんに間違ってまぶたを持ち上げる力を強くする手術を行うと、ぎょろ目でにらみつけているような怖い目元になってしまいます。
皮膚のたるみがあるからと言って全切開法で二重を作るとくっきりとした二重になります。
齢の方がこの手の手術を受けた後、肩凝りや頭痛が改善したのはいいけれど、銀座のママさんのような目になってしまって、恥ずかしくて外に出られないと悩んで相談に来られることがあります。
上眼瞼リフトは二重の印象を大きく変えないですっきりした目元にできるよい方法です。
しかし、元もとまゆ毛が目に近い患者さんにこの手術をすると、益々まゆ毛が目に近づいて、疲れた暗い顔になってしまいます。
第4章は「眼瞼下垂の治療法:筋肉が弱っているタイプ」です。
ぶたを引き上げる働きをする筋肉(眼瞼挙筋)が弱っているタイプの治療法です。