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隆鼻術~第2章 : 隆鼻術はデザインが命
隆鼻術というのは鼻筋にモノを入れて高くする手術です。
固形の人工物であるプロテーゼを使えば、術後に吸収されることがありませんので、予定通りの高さと太さの鼻筋を作ることができます。そうなると、きれいな鼻筋を作るにはデザインが大切になります。どこをどれだけ高くするかで鼻の印象は全く変わってきます。
隆鼻術~第2章 : 隆鼻術はデザインが命 目次
- プロテーゼの大きさと形をデザインする
- 鼻筋は高ければいいってものじゃない
- 隆鼻術の結果
- 隆鼻術は鼻筋を長くする
- 鼻とおでこの境界はどこにあるべきか
- 眉間プロテーゼが必要なわけ
- 眉間プロテーゼのデザイン
- 眉間プロテーゼの挿入方法
- 眉間プロテーゼにはなぜゴアテックスを使うのか?
- 眉間プロテーゼ デザインで留意する点
- 眉間プロテーゼの結果
プロテーゼの大きさと形をデザインする
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プロテーゼの大きさと形をデザインするときには横顔を参考にします。
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横顔で鼻筋(鼻背)の輪郭ラインを観察して、鼻先から鼻筋のどこまで高くするのか。
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また、まっすぐのラインにするのか。
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アップノーズのようにやや凹んだカーブにするのか。
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わし鼻のようにふくらんだカーブにするのかを決めます。
これはプロテーゼを使った隆鼻術に限ったことではありません。ヒアルロン酸を注入して鼻筋を通すときでも同じようにデザインが大切です。
鼻筋は高ければいいってものじゃない
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例えば、こちらの女性は正面で鼻筋がぺちゃんこに見えて、目と目が離れて見えるのが嫌でヒアルロン酸を打ってもらったそうです。患者様本人も注入をした医師もできるだけ鼻筋を高くしようとヒアルロン酸をたくさん注入したのだと思います。
しかし、その結果、目と目の間の鼻筋(鼻根部と呼ばれる部分)がおでこより高くなって、ゾウさんかモアイ像のようになってしまいました。おまけに、ヒアルロン酸が横に広がって鼻筋が太くなっています。これでは鼻筋を通したことになりません。
ここで、変だと気づけばまだいいのです。
せっかくヒアルロン酸を入れたのに鼻筋がはっきりしていないからといって、もっと注入をした方がいいと考える患者様がいらっしゃいます。また、もっと注入する必要がありますとアドバイスする医師がいるのには驚きます。
隆鼻術の結果
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隆鼻術の結果、横顔で鼻筋が高くなります。正面では鼻筋のハイライトが強調されて鼻筋が通ります。
もう一つ、鼻とおでこの境目の位置が頭側(上の方)にずれます。
その結果、鼻筋は長くなります。
隆鼻術は鼻筋を長くする
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鼻筋が低くて、鼻とおでこの境目も低い(鼻先に近い)ケースでは、隆鼻術を行うと、鼻とおでこの境目が頭側に移動して短い鼻筋が長くなり、かっこいい鼻になります。
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鼻とおでこの境目がちょうどいい位置にあるケースでは、その境目が頭側にずれるため、鼻筋が長くなり過ぎます。
鼻とおでこの境界はどこにあるべきか
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鼻とおでこの境界はどの高さにあるのが好ましいかというのは個人的な好き嫌いがありますので、絶対にこれがいいといったモノはありませんが、一般的には瞳の高さがちょうどいい高さです。
鼻筋がすらっと伸びた方では、目を開けた時の上まぶたの高さが普通です。
鼻とおでこの境目が上まぶたより上になると・・・、鼻がおでこから生えているようで不自然です。
眉間プロテーゼが必要なわけ
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隆鼻術で鼻筋を高くすると鼻とおでこの境界は頭側にずれます。
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もし、鼻筋ではなく、眉間を高くするとどうなるでしょう?
眉間を高くすると鼻とおでこの境界は下側にずれてきます。
ということは、鼻とおでこの境界が上まぶたより上にあるケースでは眉間を高くすることが好ましいわけです。
しかし、生まれつき鼻とおでこの境界が上に上がり過ぎているような人はいません。
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プロテーゼを使って鼻筋を高くした結果、鼻とおでこの境界が上(頭側)にずれているケースには眉間のプロテーゼを追加することで、不自然な鼻を修正することができます。
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それでは、鼻筋は低いけれども、鼻とおでこの境界はちょうどいい高さにあるケースにはどうしたらよいのでしょう。
その時は、鼻筋を通す隆鼻プロテーゼと眉間を高くする眉間プロテーゼをあわせて使います。
そうすることによって、鼻とおでこの境界をちょうど「いい かげん」の高さにコントロールすることができます。
眉間プロテーゼのデザイン
さて、眉間のプロテーゼはどんな形になるのでしょう?
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眉間のトップの太さには個人差がありますが、鼻筋の太さと同じではありません。
鼻筋に使う棒状のプロテーゼを眉間に入れると幅が細すぎて変です。
鼻筋の太さは一般的に8㎜程度ですが、眉間のトップはそれよりも太く、1.5㎝から3㎝ほどあります。
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従って、眉間の部分は逆三角形のプロテーゼが必要になります。
眉間の部分だけにプロテーゼを入れることはほとんどありません。
というのは、目と目の間から眉間にかけて低い人は鼻筋も低いからです。そのため、眉間と鼻筋にプロテーゼを入れる必要があります。
この場合は、眉間から鼻先までゴアテックスを使って一体型のプロテーゼを使います。
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厚さ2ミリのゴアテックスシートを必要な厚さだけ重ね合わせた後、まわりを削って形を整えます。
しかし、鼻筋をくっきりとシャープなラインにしたいという希望がある時は、鼻の部分にはシリコンでできたプロテーゼ、眉間にはゴアテックスというハイブリッドタイプのプロテーゼを使います。
このハイブリッドタイプというのは棒状のシリコンプロテーゼと三角のゴアテックスを縫い合わせて作ります。これの欠点はつなぎ目に段差が残ることです。
眉間プロテーゼの挿入方法
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眉間のプロテーゼは鼻の中を通して入れます。鼻中隔延長術と併せて行う時はオープン法で行います。
この場合、左右の鼻の穴の中と鼻柱と呼ばれる部分の皮膚を切開するため、大きな入口を作ることができますのでプロテーゼを入れるのが比較的簡単です。
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鼻中隔延長術を行わない時にはクローズ法で行います。
その時は左右の鼻の穴の中に切開を加えます。そこから、鼻の軟骨と鼻の骨の上を剥がしてトンネルを造ります。
この狭いトンネルを通して、幅の広いプロテーゼを眉間まで入れなければなりません。
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すでに隆鼻術を受けていて、鼻筋にプロテーゼが入っているケースでは眉間の部分だけにプロテーゼを入れることがあります。
この場合、一度鼻の穴から鼻のプロテーゼを取り出して、それと眉間プロテーゼをつなぎ合わせてから、再度挿入します。
しかし、これ以外の方法として、おでこの生え際の皮膚を切開して、そこから眉間にプロテーゼを入れることも可能です。
また、上眼瞼リフトの時と同じように、眉毛の下に沿って皮膚を切開して、プロテーゼを入れることもできます。
眉間プロテーゼにはなぜゴアテックスを使うのか?
眉間プロテーゼはゴアテックスという素材でできています。
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その理由は、ゴアテックスは布のようにしなやかな素材ですから、丸めたり、折り曲げたりすることができるからです。
幅の広い眉間プロテーゼが狭いトンネルの中を通らなければなりせん。シリコンのような比較的硬い素材のプロテーゼでは狭いトンネルを通すことができません。
しかし、ゴアテックスで作ったプロテーゼは丸めて細くしてから鼻の中のトンネルを通すことができます。
また、鼻の骨と眉間の骨は3次元的に複雑な起伏をしています。
シリコンで作ったプロテーゼはゴアテックスに比べると硬いため、鼻と眉間の骨の起伏にぴったりとなじむことができず、プロテーゼのエッジが跳ね上がって浮き出てしまいます。
その点ゴアテックスなら、しなやかに折れ曲がって骨の輪郭にぴったりフィットします。
眉間プロテーゼ デザインで留意する点
さて、眉間を高くするにはどういった点に注意しなければならないでしょうか。
すでにお話ししたように鼻とおでこの境界の位置をどこにするのか。具体的には、瞳の高さにするのか、もっと上まぶたの高さにするのか、その中間にするのか。
次に大切なのは、鼻根部と呼ばれる目と目の間の部分をどれだけ前方に高くするのかを決めることです。
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目と目の間をできるだけ高くして欲しいという希望はよく聞かせて頂きます。
この時、わたしが注意するのは、おでこよりも鼻根部が高くならないようにします。
限界まで高くしても、おでこと鼻根部が同じ高さになるところまでにします。
おでこの形や出っ張り具合によっては、鼻根部がおでこより若干下がっているほうがきれいな輪郭になります。
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もうひとつ、プロテーゼのデザインで留意する点は、眉間部分の巾と鼻筋の巾です。
これは、もともとの眉間と鼻の骨の太さに合わせるようにしていますが、患者様の希望によって、細くしたり太くしたりすることができます。
眉間プロテーゼの結果
眉間のプロテーゼを入れることによって、もっと正確に言うと、眉間プロテーゼと隆鼻プロテーゼを入れることによって、顔の印象はどう変わるのでしょう?
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正面から見た時に、眉毛の高さから鼻先まで鼻筋のハイライトが強調されます。
そして、眉間の部分にY字型のノーズシャドーができて、目元にメリハリができます。
目と目の間の部分、すなわち、鼻根部が高くなって凹凸感ができるため、目と目の距離感が近づいた印象になります。
側方から見た時には、鼻筋が全体に高くなります。眉間を高くすることで、鼻とおでこの境界が上の方にずれることはありません。