鼻中隔延長術 上級者編~第5章 : 鼻中隔延長後の鼻づまり
鼻中隔延長術の術後に見られる問題点としてあげておかなければいけないのは、鼻づまりです。
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鼻中隔延長術 術後の問題「鼻づまり」
手術後1,2週間は鼻の中の粘膜が腫れているため、鼻の通りが悪くなります。しかし、粘膜の腫れがおさまっても鼻づまりが続くことがあります。
その原因は、鼻中隔延長のために鼻の真ん中に2ミリほどの厚みの軟骨を移植することによって、空気の通り道のコーナーの部分が狭くなって、空気抵抗が上がるためです。
専門的な話になりますが、空気の通り道のうち空気抵抗が高くなる弁のような部分が2ヶ所あります。
手前にあるのがexternal valveと呼ばれています。鼻尖縮小のために鼻翼軟骨の外側脚を正中に寄せるように縫合するとexternal valveが狭くなります。
もう一つ奥にある弁をinternal valveと呼びます。
ぶ厚い軟骨を上外側鼻軟骨の下縁に接するように鼻中隔軟骨の背側いっぱいに固定するとinternal valveが狭くなります。
移植された軟骨が弯曲するとinternal valveが一層狭くなります。
鼻づまりの修正
難しいことはおいておくとして、移植する軟骨がぶ厚い時や、鼻尖縮小術を併せて行った時や、延長した軟骨が傾いてしまった時には、鼻づまりが起こりやすくなります。
これを避けるためには、空気の通り道のコーナーの部分が狭くならないように、延長する軟骨の固定位置や厚みを調整する必要があります。
もし、術後に鼻づまりが起こってしまった時には、コーナーの部分を狭くしている移植軟骨を一部削り取ることで、鼻づまりは治ります。
これまで、2%の患者さんに術後の鼻づまりが認められました。延長した鼻先の軟骨がしっかり固まるのを3ヵ月待って、鼻の中を切開して修正しました。
最後に
鼻中隔延長術は鼻尖の位置をコントロールするのに大変有効な手術法ですが、よい結果を出すためには手術的技術と美的センス、さらに忍耐を必要とします。
美的センスと忍耐は患者さんと術者の両方に要求されるものです。