究極のシミュレーション!? PART2 一度体験してみませんか?
シミュレーション
ただし、ドクターがどんなに止めても、「どうしてもやってほしい」とねばる方もいます。当院にいらっしゃる方の中にも、そういった方が少なくありません。
その場合は、シミュレーションなどで術後の形態をお見せして、「こんなに不自然な鼻になるよ。」とやめるよう説得を試みます。でも、シミュレーションのバーチャルな画像ではいま一つ実感が湧かないのか、それでもあきらめない方がいらっしゃいます。我々がお断りしても多くの場合、引き受けてくれるクリニックを捜して、結局手術を受けてしまいます。
どんなに不自然になってしまっても、ご自分が満足されていれば良いのですが、たいていの場合やった後に、「こんなはずではなかった。」と後悔されます。手術前に、もっとリアルに術後の状態を知ることができれば、こんな不幸を避けられるかもしれません。
究極のシミュレーション
という訳で、最近新たに試みていることがあります。近頃は、頬骨やエラといった顔の骨の手術をする際、3DCTで立体データを作ることで、実際の骨と全く同じ形、サイズの模型を作ることができます。
ヴェリテクリニックでは、骨切りや額形成といった輪郭の手術の際に、こういった立体模型を制作してくれる会社(SONYの系列会社です)にお願いして、骨格模型を作っています。より精度の高い手術をするために、非常に有効な手段です。この技術を用いて、鼻の立体モデルを作っていただきました。
次のは中身ではなく表面の形状のモデルです。このモデルは、骨格模型のように硬い素材ではなく、人間の皮膚に近い弾力のシリコンでできています。
いろいろな種類のシリコンで試作して、感触や弾力が人間により近いものを選んだので、色こそ違いますが、触ると本当に人間の鼻の感触です。(写真では、この部分が伝わりにくくて残念です。)
どうしてこういった素材で作るかといえば、これを用いて実際と同じように手術を行いたいからです。実際の手術と同じようにデザインし、同じメスを使って切除すると本当に術後の形態を作ることが可能です。上の左の写真には、既に鼻翼縮小のデザインが描かれていますが、これに沿って切開したのが下の写真です。
両横に載せてあるのは、切り取った部分ですが、実際の手術で切除した鼻翼の皮膚もこんな感じです。残った断端をつなげると手術の完成です。
今回お見せする写真はピンで固定しているだけなので形が分かりにくいのですが(すみません)、最終的にはシリコン用の接着剤でつないで本当の術後と同じ状態にできます。
まさに、究極のシミュレーション!
そこまで言うのはちょっと大げさかもしれませんが、本当にリアルに再現できます。「そこまでする必要があるの?」という声がどこからか聞こえてきそうですね。でも、後戻りできない治療だけに、手術前の段階で、手術した後の状態を知ることができるのは本当に有意義であると思います。
ちなみに、鼻翼というのは立体的な構造物であり、人それぞれ大きさや形も大きく異なります。ですから、どの部分をどの程度切除したらどういった形になるのかということを正確に予測するのは、我々ドクターでも難しく、経験を要します。そういう意味では、このシリコン製モデルは若いドクターの手術の練習用にも役立つかもしれません。それと、鼻翼の治療に限らず、ご自分の鼻を客観的に見て評価したいというマニア(?)の方にもお勧めです。