鼻は細いほど美しい? PART1~日本人の細い鼻信仰
今回は基本に立ち返って、プロテーゼを使って鼻を高くする手術、つまり隆鼻術についてお話したいと思います。いわゆる隆鼻術は、シリコンなどを鼻に挿入することで鼻の付け根から鼻先の付近までを高くし、すっきりと通った鼻筋に見せる手術です。
L型のシリコンで鼻先を尖らせる隆鼻術もありますが、あえて鼻先付近までと表現をしたのは、できればプロテーゼで鼻先の形を変えることは避けた方が良いと考えているからです。理由は、鼻先をシリコンで高くするとアップノーズな鼻になってしまうケースが多く、また将来的に鼻先の皮膚が薄くなってシリコンが透けてしまう可能性があるからです。(出てきてしまう恐れもあります。)そういう訳で、プロテーゼを用いた隆鼻術は、鼻根と鼻筋を作る手術と考えています。
日本人の細い鼻信仰
鼻は細いほど美しくカッコいいと思っている方がとてもたくさんいらっしゃいます。
実際に、隆鼻術のカウンセリングでプロテーゼのサンプルをお見せすると、
「できるだけ細いものにしてください」と言われることがよくあります。
「どうしてですか?」とお聞きすると、ほとんどの方は
「鼻を細く見せたいからです。」とおっしゃいます。
でも、特に鼻根部に関して言えば、細すぎる鼻根は不自然さや違和感が強くなるばかりで綺麗とは言えません。特に、幅は細いのに高さだけは十分すぎるほど高いプロテーゼは、元々の鼻根との段差でプロテーゼが浮き立って不自然に目立ってしまいます。おまけに、鼻根の両サイドに垂直に近い切り立った面が出来てしまいます。
高さと幅のバランスが大事
西洋人のように、よほど鼻が高く彫が深いのであれば、鼻根の両側が切り立っていてもおかしくはありませんが(この場合鼻根の幅も太い)、東洋人でそれも鼻根の幅が細いのにこうなっていると、とても違和感を感じます。
つまり、目標とする高さと幅のバランスが合っていないと綺麗に見えないという事になります。鼻根の鼻の断面図で、この事を少しイメージしてみましょう。
鼻の低い方よりも高い方の方が横のスロープの角度は急になりますが、東洋人ではこのスロープが垂直になることはほとんどなく、きれいなカーブを描きます。
ですから隆鼻術の際には、このスロープの形が自然になるよう気を付けてプロテーゼの形を決めていきます。
この場合、控えめな高さにとどめるのであればプロテーゼの幅も狭くて大丈夫ですが、高くしようとすればするほど、当然プロテーゼの幅も広くなっていきます。
無理に幅の狭いプロテーゼで高さを出そうとすると、先ほど述べたような問題が起こっていきます。
こうなってしまうと、いかにも何かが入っていそうな感じに見えてしまい不自然です。
東洋人でも、鼻が高い方でバランスの良い美しい鼻をしている方の鼻根は、意外と幅があります。(一度気を付けて見てください。)こういった方は、鼻筋がスッと上から下まで通っていて中心が強調されているので、太すぎるという印象には見えません。そして、このほうが鼻の上下のバランスも良く見えます。
上下のバランス
美しい鼻の条件はいろいろありますが、その一つに眉間から小鼻に至るまでのサイドラインがスムーズでバランスが良いことが挙げられます。
この左右のサイドラインの幅は、眉間から少しずつ狭まっていき鼻根で最も細くなり、そこから小鼻にかけてまた少しずつ広がっていきます。
分かりやすくするためこのサイドラインを、眉間部、鼻根、中間部、鼻翼(小鼻)部の四つに分類します。
このそれぞれの位置でのサイドラインの幅のバランスが良くないと、全体像として鼻が美しい形に見えません。
この内のどの部分が細すぎたり太すぎたりしても、アンバランスな鼻に見えてしまいます。
例えば、中間部に比べ鼻根部が極端に細いと、鼻根から下のサイドラインが急激にハノ字に広がって行くため、鼻先の方が大きく重たく見えてしまいます。
その高さに比べて細すぎるプロテーゼを入れてしまうと、プロテーゼの両側の辺縁がくっきり浮き出てしまいます。
そうなると、特に元々鼻根が低く、この部分のサイドラインがはっきりしていない方は、プロテーゼの辺縁のラインが鼻根のサイドラインに見えてしみます。
先ほどお話したパターン、つまり鼻根の細すぎるサイドラインになってしまいます。特に中間部から下が太いのにこうなってしまうと、とてもかっこ悪い鼻になってしまいます。
元の鼻の全体像を無視してプロテーゼの形を決めてはならないこと、お分かりいただけたでしょうか。この鼻のサイドラインの形は、今回のプロテーゼの問題ばかりでなく、鼻の様々な手術の仕上がりを考える上で非常に大切なポイントです。
手術自体に問題が無くても、これを無視すると非常にアンバランスな仕上がりになってしまいます。