二重の手術には埋没法、小切開法、全切開法があります。小切開は埋没法に比べラインが取れてしまうことはなく、小さな傷痕、腫れが少ないことが特徴です。二重の仕上がりは埋没法とほぼ変わらないですが、ラインのくい込みを深くすることができます。
埋没法に比べると二重のラインは長く持ちますが、全切開法に比べると二重のラインが消失する可能性は高くなります。
「埋没法の術後に二重の線が消失した」「皮膚が厚い、脂肪が多い」といった方は小切開法が適しています。
小切開法のトラブル一覧
希望の二重の幅と異なる
切開線の位置だけでなく、皮膚の伸び具合や二重の癒着の深さ、眉毛の高さや目の開きといった多くの要素がからみあって、二重の幅は決まります。そのため、予定した通りの二重の幅にならない事があります。
対応
①ご希望より二重の幅が狭すぎる場合は、埋没法、または切開法(基本的に術後4ヶ月以降)にて幅を広げる。
②二重の幅が広すぎて、狭くされたい場合の修正は、かなり困難となります。
そのため、広い二重をご希望の際は、慎重に二重の幅をお決め頂くようお願い致します。
二重を狭くしたいとご希望の場合は、低いところに新たに皮膚切開をして、二重を狭くする修正を行わせて頂きます。しかし、二重が狭くならないことがありますことをご了承ください。
二重の幅の左右差
切開線の高さ、皮膚の伸び具合、二重の癒着の強さ、眉毛の高さといった、複数の要素の1 つでも左右にズレが生じますと、二重の幅に左右差が生じることになります。
対応
二重の幅に左右差が生じた場合は、基本的に狭い側の二重の幅を広げ、反対側に合わせることになります。その際は、上記 A)に準じます。
二重のくい込みが深すぎる
切開法で作った二重のラインは、ラインが消えないように傷口をしっかり癒着させますので、食い込みが深くなります。皮膚が厚ぼったい方では、まぶたを閉じていても二重ラインが食い込みやすくなります。4~6 ヶ月経過してむくみが落ち着き傷跡がやわらかくなりますと、食い込みは浅くなってきます。
対応
二重の食い込みがどうしても気になる場合、二重のラインを作っている箇所の癒着癒着を弱くする処置を行います。
※ただし、かなり調整が難しく、結果について保証は致しかねます。
癒着を弱くする処置を行う事で、二重のラインが薄くなる、または、ラインが乱れてしまう可能性があることをご理解下さい。その場合は、再度、ラインの癒着を強くする処置が必要となります。また、同じ箇所を切開致しますので、処置を行う時期により、傷がきれいにならない可能性が高くなりますことをご了承ください。
二重の形が希望と異なる
切開範囲が狭く、作成する二重の幅や、二重の食い込みの強さ、モウコヒダの突っ張りの強さが影響する為、必ずしもご希望の形(平行型または、末広型)にならないことがございます。
対応
二重のラインやモウコヒダなどの影響があるため、必ずしも、ご希望の形(平行型または、末広型)になると断言することは出来ません。希望の形にならなかった場合は、埋没法、または、切開法(基本的に術後4ヶ月以降)にて調整を致します。
※ご状態によっては、目頭切開が必要となる可能性があります。
ラインの乱れ
二重のラインが三重になる・元のラインが出現する・切開線とは違う場所にラインが出来る可能性があります。
対応
二重のラインが三重になる・元のラインが出現する・切開線とは違う場所にラインが出来る可能性があります。
その場合は、術後1 週間以内なら、二重の食い込みを深くするため、糸で二重を吊上げる処置を行わせて頂きます。
術後1 週間以降の場合、4 ヶ月以上経過を待って頂き、二重を再度切開して、余分なラインの癒着をはがし二重がしっかり食い込むように糸で吊上げる処置を行わせて頂きます。
ラインが浅い
切開線の傷口とまぶたの筋肉の癒着が弱くなりますと、ラインの食い込みが浅くなってしまいます。
対応
ラインが浅いと感じ、もっと 食い込みを深くされたい場合、二重ラインを切開して食い込みが深くなるように縫い直す処置を行います。
ラインの消失
手術後、二重ラインの癒着が外れ、ラインが消失することがございます。
対応
二重のラインが消失した場合、再手術を行います。
二重のラインが短くなる
二重の幅を広くしたり、タルミを切り取ったりしますと、二重の上に被さる皮膚が少なくなりますので、二重の折れ込みが浅くなり、目頭や目尻の二重の長さが短くなる。
対応
二重に被さるタルミが少なくなることで生じる必然的な結果です。
まぶたが閉じづらい
タルミを切除した場合、特に腫れている期間は目が閉じにくくなり、就寝時には目が乾燥することがあります。
対応
特に腫れている期間は目が閉じにくくなり、就寝時には目が乾燥することがあります。
その場合、お渡しする処方薬をご使用ください。通常、むくみが落ち着くと症状は治まります。
まぶたの開きが重い、または眼瞼下垂が悪化する
二重の幅を広くすることによって、外見的に眠そうに見えることがあります。
また、幅の広い二重を希望された場合、まぶたを持ち上げるときの抵抗が強くなり、開きが弱くなることもあります。手術前から下垂症状がある方は、より強くなる可能性があることをご理解ください。
対応
二重の幅を広くすることによって、外見的に眠そうに見えることがあります。また、幅の広い二重を希望された場合、まぶたを持ち上げるときの抵抗が強くなり、目の開きが弱くなることもあります。
手術前から下垂症状がある方は、より症状が強くなる可能性があることをご理解ください。まぶたの開きを改善するためには、二重の食い込みを浅くする処置をさせて頂きます。
ただし、この方法では、まぶたの開きを強く出来ないことがあります。目の開きを強くするには、眼瞼下垂か埋没式眼瞼下垂術の手術をおすすめ致します。
タルミが残る
二重を作ってまぶたのタルミを少なくしますと、眉毛を持ち上げるくせがとれて眉毛が下がり、二重の上に皮膚が被さってくることがあります。また二重を広く作った場合は、まつ毛の上に皮膚が垂れ下がってくることがあります。
対応
小切開は、たるんだ皮膚を取り除く手術ではありません。二重の上に被さるタルミが気になる場合は、全切開やブローリフト や 上眼瞼リフト・前額リフトなどをご考慮下さい。
また、まつ毛の上に垂れるタルミ(二重ラインの下のタルミ)の修正をご希望の場合は、二重ラインの下で皮膚を切り取る処置をさせて頂きます。ただし修正後は、二重が狭くなる、または、二重ラインの形が平行型から末広型へ変わることがありますことをご了承ください。
まつ毛の外反
二重のラインが予定よりも高い所に癒着しますと、まつ毛が引っ張られて反り返ることがあります。
対応
むくみが落ち着き、傷跡の硬さがとれ、二重の食い込みが浅くなってきますと、まつ毛の反り返りも治まってきます。4~6 ヶ月は経過をみて頂きます。
もし半年経過しても、まつ毛の外反が気になる場合には、二重ラインを切開して、低い所に癒着させる処置をさせて頂きます。ただしこの処置を行いますと、二重幅が若干狭くなることをご了承ください。
二重が厚ぼったくなる
二重の幅を広くしますと、眉毛下の厚い皮膚が二重のラインに近づくため、二重の上が厚ぼったくなります。
対応
二重の幅を広くしますと、眉毛下の厚い皮膚が二重のラインに近づくため、二重が厚ぼったく感じられる場合があります。その場合は、脂肪の除去(ROOF 切除)や ブローリフト・前額リフトにて対処します。
キズアトが気になる
キズの凹みや、キズが一直線ではなく細かくジグザグとなってしまうことがあります。
対応
二重になるライン上を切開するため、目を開いた状態ではキズは見えませんが、目を閉じた時、小さな切開範囲でも、キズアトが目立つことがあります。特に腫れぼったいまぶたの方や、二重の癒着が強くなった方では、キズが凹んで見える場合があります。
キズアトが目立つ場合は、全切開をご考慮下さい。二重のライン全体を切開することにより、部分的なキズアトを目立たなくさせます。
切開箇所にミリウム(白い膨らみ)が出来る
切開部に皮脂によるイボの様な膨らみができることがございます。
対応
切開箇所にミリウム(脂肪によるイボのような小さな白い膨らみ)が出来る事があります。通常1~3 ヶ月の間に消失する事が多いのですが、気になる場合は、CO2 レーザー照射にて除去する事も可能です。
糸が出てくる
皮膚の下の組織を縫い合わせている糸(中縫いの糸)が出てくることがあります。
対応
皮膚の下の組織を縫い合わせている糸(中縫いの糸)が出てくることがあります。
その場合、そのままにしておくと化膿する恐れがありますので、早めにご来院下さい。抜糸を行わせて頂きます。
感染(化膿すること)
対応
感染が起きた場合は、抗生剤の投与を行います。必要に応じて傷を再度開ける、もしくは、新たに切開し、膿を出すなどの処置を行います。
血が溜まる
術後に傷の中で出血しますと、血が溜まってまぶたが腫れ上がります。血が溜まったままにしておきますと、感染やしこりを作る恐れがあります。
対応
血が溜まった場合、そのままにしておきますと感染やしこり形成の原因となります。出来るだけ早く処置をする必要があります。その際は再度、傷を開け、溜まった血を排出します。
傷が開く
稀に糸が外れて、傷が開いてしまうことがあります。
対応
傷が開いた場合は、再度縫合します。
白目や角膜の損傷
大変稀なことですが、可能性は否定できません。手術中に、手術器具が当たる、あるいは糸やまつ毛の先端が当たって眼球の表面に傷がつくことがございます。
対応
白目や角膜の損傷や眼球に火傷が生じた例も報告されています。状態に応じた処置や対応を行います。
眼球の火傷
大変稀なことですが、可能性は否定できません。手術中に血を止めるための電気メスやバイポーラによって発生した熱で、眼球の表面に火傷を作る可能性があります。
対応
白目や角膜の損傷や眼球に火傷が生じた例も報告されています。状態に応じた処置や対応を行います。
この記事は、
ヴェリテクリニック理事長
福田慶三医師が監修しました。
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