症例番号:ペリカン-001
担当医: 福田 慶三
ペリカン手術のリスク・副作用
A)感染(化膿する)
手術後、熱感・痛み・腫れが増す、あるいは長引く場合は感染が疑われます。感染が起きた場合は、内服薬の服用、抗生剤の投与、洗浄をおこないます。
また、感染がひどいケースでは、傷口の一部を再度切開し膿を出す必要があります。
術後半年以内の感染
内服薬の処方、抗生剤の投与、洗浄、切開処置は無料
術後半年以降の感染
内服薬1週間分 2,750円、抗生剤の投与1回 1,100円、洗浄1回 550円
切開処置
1回 88,000円
B)血が溜まる
術後、傷の下で出血し大量の血が皮膚の下に溜まってしまい、こぶのように紫色に腫れ上がることがあります。
放置しておくと、皮膚が引っ張られ過ぎて血行が悪くなり皮膚が壊死する可能性があるため、早急に処置が必要になります。傷口の一部を再度切開し、溜まった血を排出する処置を行わせて頂きます。(無料)
C)効果が物足りない
術後の腫れや浮腫みがあると顎下から首のラインがすっきりしません。3~6ヵ月は経過を見てください。
顎下で切除できる組織には限界があります。顎の骨が小さい方(生まれつき顎が後退している・エラ削り後・上下顎骨切り後)では理想の顎下・首ラインを作ることが困難です。
取り残した組織が明らかな例では再度手術を行って残っている組織を処理します。
顎が小さい方では、顎プロテーゼまたは顎の骨切り前出し手術がおすすめです。
ペリカン再手術1回 165,000円
顎プロテーゼ・骨切り前出し 通常料金の10%割引
D)顎下・首の皮膚表面のデコボコ・陥凹
広頚筋より浅いところにある脂肪(皮下脂肪)をしっかり切除すると、皮膚表面に凸凹やへこみが生じやすくなります。また、皮膚が首の筋肉に張り付いたような外観になります。
そういった変形の修正は非常に難しいため、過度の脂肪切除を避けるように手術をさせていただきます。
それでも元々皮下脂肪が少ない、あるいは、顎下や首の皮膚のたるみが強い方では、デコボコを生じることがあります。
デコボコや凹みが目立った場合、へこんだ部分に脂肪やヒアルロン酸を注入することで多少の改善が見られます。また、症例によっては顎下の皮膚切除が有効なことがあります。
脂肪注入1回 110,000円
ヒアルロン酸注射 術後半年間 無料
皮膚切除1回 110,000円
E)顎下・首の皮膚の知覚鈍麻・しびれ
手術操作の際に皮下脂肪の中を通る細かい知覚神経を引っ張って傷をつけることがあります。
そのため、麻痺やしびれが生じることがあります。個人差はありますがほとんどの場合、3~6ヶ月以内に自然に回復します。ごく稀に完全には元に戻らないこともあります。
F)顔面神経麻痺(口角・下唇の動きの麻痺)
手術操作の際、特に顎下腺を切除する際に、顔面神経を引っ張ることになります。
そのため、下口唇や口角を動かす表情筋の動きに麻痺が出ることがあります。片側で麻痺がおこると、口元のゆがみが目立ちます。
麻痺は通常1か月から半年で自然回復します。しかし、ごくまれにそれ以上回復が遅れたり、麻痺が一部残ったりします。
左右差が目立つ場合は、左右のバランスを整える目的で麻痺が出ているのとは反対側にボトックスを注射させていただきます。(無料)
G)皮膚の色素沈着
内出血ができることは珍しいことではありません。通常3週間程度で内出血は消失します。
稀に、内出血の血液の分解産物の色が皮膚の中に残って、茶色の色素沈着が続くことがありますが、6~12ヶ月で色は薄くなっていきます。
H)顎下の傷が赤く盛り上がる(ケロイド状)
切開部の傷が赤く盛り上がる場合があります。ステロイドを注射することにより、傷を平らにする効果が期待できます。
ステロイド注射の効果が見られない場合は、傷を切り取って縫い合わせる処置を行わせて頂きます。
ケナコルト(ステロイド)注射1回 1,100円
※十分な効果が得られるまで、1ヶ月間隔で繰り返さなければならない場合があります。
ステロイドの副作用として、皮膚や傷が凹む、細かい血管が浮き出るといったことがあります。
傷跡の切除1回 55,000円
※ただし、再発する可能性が高いため、放射線治療の併用をお勧めします。放射線照射は術後すぐに始める必要があります。
(放射線治療は他院へご紹介させて頂きます。なお、治療費はご本人様負担となります。)
I)顎下の傷の段差・凹み
出来るだけ丁寧に縫合しておりますが、肌の性質により傷跡の段差や凹みが起こる場合があります。
傷跡の段差や凹みが起こる場合は、CO2レーザーを照射し、削って滑らかにする、ぼかす等の処置を行わせて頂きます。レーザー処置後は、治療部位に赤みが3ヶ月程残ります。
レーザーで修正できない程の大きな段差や凹みは、傷を切り取って縫い合わせる処置や真皮移植を行わせて頂きます。
CO2レーザー照射1回 11,000円
傷を切り取って縫い合わせる手術1回 55,000円
真皮移植 初回 77,000円 2回目以降 55,000円
J)皮膚の壊死
顎下切開部の皮膚を引っ張りながら顎下の組織の切除を行うため、創部の皮膚が挫滅され壊死し黒いかさぶたになることがあります。
喫煙・術後の強い腫れ・大量の血液がたまるといったことがあると剥離した皮膚の血行が悪くなり、壊死の危険が高くなります。皮膚が壊死した場合は、状態により必要な処置をいたします。
ほとんどのケースでは壊死の範囲が小さいので、周りの皮膚が伸びてきて傷がふさがるのを待つことになります。
その間、傷の治りを早める軟膏や被覆材をお渡ししますので、指示に従ってご使用ください。
大変まれなことですが、壊死範囲が非常に大きいときは皮膚移植(頭から採取が好ましい)が必要となります。
壊死部分の傷がふさがると、赤黒い傷跡になります。傷跡は半年かけて徐々に白くなっていきます。
K)皮下に唾液が溜まる
顎下腺を切除した断面から唾液が漏れて、傷の中にたまることがあります。
唾液の分泌を抑える目的でボトックスを注射します。
ボトックス片側 回 11,000円
L)飲み込みにくい
顎二腹筋やそれに隣接する顎下の筋肉は嚥下(ものを飲みこむ)の際に働く筋肉です。
顎二腹筋に手術侵襲を加えると一時的に物が飲み込みにくくなります。
通常3か月ほどの経過により筋肉の炎症がおさまると飲み込みづらさも回復します。
M)口が渇く
顎下腺を切除すると唾液の分泌量が減少するため口が乾きます。特に切除部から唾液が漏れるのを防ぐためにボトックス注射をすると口の渇きが強くなります。
1ヵ月程度、長くて3ヵ月の経過でボトックスの効果が弱くなる、また、残った唾液腺からの分泌量が増えることによって口の渇きはおさまります。
リスク
腫れ、内出血、しびれ、麻痺など