症例番号:上口唇短縮-017
担当医: 積山 真也
上口唇短縮術のトラブル一覧
A) 感染(化膿する)
上口唇短縮の術後治療部位に「熱感」「赤みが出る」「強い痛み」「強い腫れ」等といった状態が長引く場合には、感染が疑われます。
放置すると皮膚が破れ、膿が出て傷跡が残りますので、そうなる前に治療が必要です。
対応
感染が起きた場合は、内服薬の服用、抗生剤の投与、洗浄をします。
また、感染がひどいケースでは、傷口の一部を再度切開し膿を出す必要があります。
放置すると皮膚が破れ、膿が出て傷跡が残りますので、そうなる前に治療が必要です。
B) 傷口が開く
稀に糸が外れたり、傷口の治りが悪く、傷口が開いてしまうことがございます。
対応
糸が外れて傷が開いた場合は、再縫合をさせていただきます。
C) 中縫いの糸の露出
中縫いの糸(皮膚の下の組織を縫い合わせる糸)が露出することがあります。
対応
放置していると化膿する危険がありますのでお早めに来院下さい。糸を取り除く処置をさせて頂きます。
D) 傷跡の段差・凹み
縫合は丁寧に行っておりますが、肌の性質、縫合部の緊張やズレにより傷跡の段差や凹みが起こる場合があります。
対応
傷跡に段差や凹みがおきた場合には、CO2 レーザーで削って滑らかにしたり、ぼかしたりする処置を行わせて頂きます。レーザー処置後は治療部位に約3 ヶ月程度赤みが残ります。
また、レーザーでは治療できない大きな段差は切り取って縫合します。
※ これらの処置を行っても、傷跡が完全に消えるわけではない事をご理解下さい。
E) 傷が赤く盛り上がる
切開部分が赤く盛り上がることがあります。1 度に切除する量が多い程、傷に緊張がかかり、赤く盛り上がりやすくなります。また、体質的に盛り上がりやすい方もいらっしゃいます。
対応
赤く盛り上がった場合は、1ヶ月に一度、ケナコルト(ステロイド)注射で対処します。
十分な効果が得られるまで注射を繰り返さなければならない場合があります。
※ ステロイドの副作用として、傷が凹む、毛細血管が浮きでるといった事があります。
F) 鼻の穴や小鼻の左右差
元々ある鼻の左右差・鼻の穴の床の皮膚を切除する量のわずかな左右差・頬の筋肉に引っ張られる力の左右差によって、鼻の穴の広がりに左右差が生じることがあります。
対応
広がった方の鼻の床の皮膚を切除して狭くし、反対側の大きさに近づける手術を行わせて頂きます。
※ 但し、修正手術をしても完全な左右対称にはならないことをご理解下さい。
G) 小鼻が広がってみえる・小鼻が下に引っ張られる
鼻の穴の床の皮膚を切除すると、頬の筋肉で外に引っ張られるため小鼻が広がりやすくなります。
上口唇を短くする量が多いほど、小鼻に広がりが生じる傾向があります。
また、上口唇の皮膚に引っ張られ小鼻が下に下がることがあります。
対応
対処方法としては、糸で小鼻を縮める、もしくは鼻の床の皮膚を少量切り取って縮めます。元々小鼻が広がっている方には、鼻翼縮小の手術が適しています。
◆ 糸で小鼻を縮める方法
◆ 鼻の床の皮膚を少量切り取る方法
◆ 鼻翼縮小手術
また、上口唇の皮膚に引っ張られ小鼻が下に下がることがあります。時間の経過により傷が柔らかくなると戻ってきますので、3 ヶ月は経過をみて下さい。それでも小鼻の下がりが改善されない場合は、小鼻を糸でつり上げる手術を行わせて頂きます。
H) 鼻が長く見える・鼻の向きの変化
鼻柱基部が上口唇によって下に引っ張られるため、正面から見た場合、鼻が長く感じることがあります。
また、横から見た場合、鼻柱基部が下降するのに対し鼻尖部分はその位置が変化しないため、鼻柱から鼻尖にかけての角度が上に傾いて、鼻尖が上を向いたように見えることがあります。
対応
鼻を切開して中に糸を通し、鼻中基部を持ち上げる手術を行わせて頂きます。
※但し、上口唇が下に引っ張る力が強いと十分な修正が得られないことをご理解下さい。
I) 上唇のリップラインの形の変化
小鼻の端から端まで皮膚と筋肉を切除して上口唇を短縮しますので、主に上口唇の中央部分が上方向へ引っ張られることになります。その為、上口唇のリップラインの形は中央が高くなり、富士山形になる傾向があります。
そして口角は相対的に下がったように見えます。
対応
口角が下がったように見える場合、口角を持ち上げたいという希望に対しては、口角挙上術を行います。
※但し、口角付近に傷跡ができることをご理解下さい。
J) 上唇の赤い部分に厚みが出る
上口唇が短縮されると、リップラインが上に引っ張られる為、上口唇の赤い部分が、正面から見ると厚くなることがあります。厚くなる程度には個人差があります。
対応
上口唇の赤い部分の厚みを薄くするには、赤い部分の粘膜を切り取る、口唇縮小術になります。
K) 鼻下が短すぎる(上口唇短縮の効果が有りすぎる)
短すぎると感じた場合は、元に戻すことは容易ではありません。
対応
年月が経過するにつれて皮膚は伸びてきます。それでも短いと感じる場合には、ご希望により皮膚移植をすることによって鼻下の皮膚を伸ばすことは可能です。
※ しかし、傷跡が残りますのでおすすめはしません。短縮しすぎないように注意していただくのが肝心です。
L) 鼻下がまだ長く感じる(上口唇短縮の効果が足りない)
上口唇は伸びる組織の為、術後に多少皮膚が伸びてきます。例え10mm 切除したとしても、術後に組織が伸びてくるため、10mm 短縮されたまま保たれるわけではありません。
対応
上口唇がどうしても長いと感じる場合には、ご希望により再手術を行うことは可能です。
※ 但し、短くすればするほど上に記載したような、鼻や上口唇の変形が生じることをご理解下さい。
M) 感覚麻痺
鼻下から上口唇部分に関係する細かい神経を触るため、鼻下から上口唇の感覚が麻痺したり、しびれを感じたりすることがあります。
対応
通常3~12 ヶ月程でなくなりますが、まれにしびれが残ることもあります。
上口唇短縮(人中短縮)のよくある質問
上口唇短縮のダウンタイムはどのくらいですか?
1週間から10日間程で落ち着いてきます。
個人差ありますが、腫れは2~3日目をピークに7~10日間程で目立つ腫れはひいていきます。
むくみは2週間から1ヶ月程で落ち着き、その間は鼻の下や鼻の周りに違和感を感じられる方が多くいらっしゃいます。抜糸翌日からお化粧出来るため、お化粧でカバー頂けます。
むくみは2週間から1ヶ月程で落ち着き、その間は鼻の下や鼻の周りに違和感を感じられる方が多くいらっしゃいます。抜糸翌日からお化粧出来るため、お化粧でカバー頂けます。
上口唇短縮の傷は目立ちますか?
ほとんどわからなくなります。
鼻の基部に沿うように傷はできますが、術後の経過と共にほとんどわからなくなります。
術後1~2ヶ月程度赤みがありますが、お化粧でカバー出来る程度です。
術後1~2ヶ月程度赤みがありますが、お化粧でカバー出来る程度です。
口唇の手術後は痛いですか?
術後は痛み止めなどをお渡ししております。
術後は痛み止めなどを処方しております。
術後間もない時は触れたり、表情によって軽い痛みや違和感はありますが、日常生活に大きな支障はございません。
術後間もない時は触れたり、表情によって軽い痛みや違和感はありますが、日常生活に大きな支障はございません。
使用する麻酔方法は?
患者様のご希望に合わせた麻酔を使用します。
当院では局所麻酔、笑気ガス麻酔、静脈麻酔+ラリンゲルマスク麻酔、全身麻酔がございます。
患者様のご希望をお伺いし、身体へのご負担を考慮した麻酔方法をご案内させて頂いております。
患者様のご希望をお伺いし、身体へのご負担を考慮した麻酔方法をご案内させて頂いております。
ヒアルロン酸注入のトラブル一覧
アレルギーをおこす
ヒアルロン酸はもともと人間の体内にある物質ですが、ごく稀にアレルギーを起こすことがあります。
異常な赤みや腫れ・熱感等の症状が注入後から、または、数日後から約2 週間の間に出ます。
対応
アレルギーを起こした場合、抗アレルギー剤の内服や点滴(ステロイド)を受けて頂く為に通院が必要になります。
また、注入したヒアルロン酸はヒアルロン酸分解注射で溶かす処置をさせて頂きます。
皮膚の壊死
血管内にヒアルロン酸が注入される、あるいは注入によって皮膚がパンパンに膨らんで緊張が強くなると皮膚の血流が悪くなります。血行障害を起こした皮膚は数時間後には紫色や赤色になり、痛みを伴います。
血行が悪いままにしておくと、皮膚が萎縮して凹みや赤みを残すことになります。
また血流が非常に悪くなると、皮膚が壊死して黒いかさぶたになってしまいます。
対応
異常を感じた時には、早急に来院して頂くようお願い致します。
血流障害が疑われる場合には、ヒアルロン酸を溶かす処置(ヒアルロン酸分解注射)を行わせて頂きます。
できるだけ早く、皮膚が壊死する前に治療を行うことが大切です。
皮膚が壊死した場合には、周りから皮膚が伸びて傷が閉じるように軟膏を処方させて頂きます。
当院では血管内への注入を防ぐために、注入部位によっては先端が鈍くなった太い針を使用致します。
しびれが生じる
神経に注射の針があたって、しびれを生じることがあります。
対応
自然な回復をお待ちいただかなければなりません。
回復するのに1ヶ月程、長くて3 ヶ月程かかることもあります。
注入部が凸凹になる
特に目の周りなどの皮膚の薄い部分では凸凹が目立ちやすくなります。注入したヒアルロン酸が均等に広がっていないと皮膚の表皮に凹凸ができてしまいます。
対応
マッサージをしていただきますと、ヒアルロン酸が周りになじんで凸凹や膨らみが滑らかになります。
膨らみ過ぎてしまう
注入後1~2 週間はむくみのため、注入部が膨らみすぎていると感じるかもしれません。
また、ヒアルロン酸が一部にかたよっていると、その部分が膨らみすぎてしまいます。
対応
まずは2 週間程経過をみていただき、その間、注入部位をマッサージしてヒアルロン酸を周りになじませて下さい。
それでも注入部位が膨らみすぎたと感じる場合には、ヒアルロン酸分解注射で溶かして注入部位を小さくすることが可能です。
凹みが残ってしまう
注入するヒアルロン酸の量が少ないと、凹みが残ってしまいます。法令線やマリオネットラインのようなシワはヒアルロン酸を大量に注入しても完全に消えることはありませんのでご了承下さい。
対応
ヒアルロン酸の注入量不足が原因ですので、凹みをさらに浅くすることをご希望の場合は、ヒアルロン酸を追加注入されることをおすすめ致します。
法令線やマリオネットラインのようなシワは、ヒアルロン酸を大量に注入しても完全に消えることはありませんのでご了承下さい。
しこりが触れる
同一箇所に多量のヒアルロン酸を注入した場合、しこりのように感じる場合があります。
対応
経過に問題はありませんが、気になる場合は、強くマッサージをしていただくと、しこりを散らすことができます。
それでもしこりが残ってしまう場合はヒアルロン酸分解注射で溶かすことが可能です。
感染(化膿する)
注入部の熱感、痛み、腫れ、赤みが増し続けたり、その症状が長引く場合には感染が疑われます。
対応
感染が起きた場合、内服薬の処方、抗生剤の投与のため通院が必要になります。
またヒアルロン酸を溶かす処置(ヒアルロン酸分解注射)を行わせて頂きます。
稀ではありますが、感染がひどい場合には、切開をして膿を出す必要があります。
ヒアルロン酸注入のよくある質問
ヒアルロン酸注入後、どのくらいで効果は出ますか?
注入直後に確認できます。
治療結果は注入直後に確認できます。
注入された部位にしこりのような硬さを不感じることがありますが、1週間程でなじんできます。
注入された部位にしこりのような硬さを不感じることがありますが、1週間程でなじんできます。
ヒアルロン酸はダウンタイムは必要ですか?
内出血が出る可能性はあります。
注射針が細かい血管に触れた場合、内出血が出る可能性があります。
その場合1~2週間程で消失し、その間お化粧でカバー頂けます。注入箇所は1週間程で馴染んできます。
その場合1~2週間程で消失し、その間お化粧でカバー頂けます。注入箇所は1週間程で馴染んできます。
ヒアルロン酸は元に戻すことも出来ますか?
元に戻せます。
ヒアルロン酸は分解注射がございますので、元にも戻すことは可能です。
ヒアルロン酸の持続期間はどのくらいですか?
2年程持続している方が多いです。
持続効果は個人差や注入箇所により異なりますが、平均6ヶ月程で吸収が始まりその後2年程持続される方が多いようです。
4年以上効果が持続しているケースもあります。
4年以上効果が持続しているケースもあります。
リスク
腫れ、傷跡の段差、雰囲気の変化、内出血などが生じる場合があります。