症例番号:額プロ-010
担当医: 森島 容子
額プロテーゼ挿入術(+スクリュー固定)のトラブル一覧
A) 感染(化膿すること)
当院としては、現在の医療水準を満たす術野の滅菌と抗生剤投与によって感染予防に努めています。感染は手術侵襲や炎症のため、手術を受けた局部の免疫力が低下して、元々体に常在する細菌や外部から侵入する細菌が増殖するために起こります。
術後、身体にストレスがかかるような行動(例えば長距離の旅行)や喫煙や患部に刺激を加える行為は感染を引き起こす誘因になりますので、できる限り控えてください。
手術後、熱感・痛み・腫れが増す、あるいは長引く場合は感染が疑われます。
対応
感染が起きた場合は、内服薬服用や抗生剤の投与を2 週間続けて経過をみます。
それでもおさまらない場合はシリコンプロテーゼを抜去します。再挿入は抜去から4 ヶ月以降に行います。
B) アレルギー反応
非常に稀ですが、シリコンプロテーゼに対して異物反応を起こす場合があります。
対応
シリコンプロテーゼに対して異物反応を起こす場合場合はプロテーゼを抜去します。
C) 血が溜まる
術後に傷の中で出血して血が溜まると額や目の周りが紫色に腫れ上がります。血が溜まったままにすると化膿したりしこりを作ったりするので早目の処置が必要です。
対応
再度、傷を開けるか針を刺して溜まった血を排出する処置をします。
D) 中縫いの糸が出てくる
皮膚の中で縫合した糸の先端が皮膚をつきぬけて外に出てくることがあります。放置すると化膿するおそれがありますので早目の処置が必要です。
対応
糸を取り除く処置をさせて頂きます。
E) 前頭部から額にかけての知覚の麻痺、鈍さ
手術操作の際に目の上で知覚神経の近くを剥離しますので、前頭部から頭頂部にかけて知覚が麻痺することがあります。また、知覚が鈍くなりますと頭に痒みを感じることがあります。
対応
ほとんどの場合、約3~6 ヶ月かけて治まります。(回復期間内に頭に痒みを覚えることがあります。)まれに感覚が完全に元通りには戻らないこともあります。
神経の走行に異常のあるケースでは神経が断裂する可能性があります。その場合は、額の感覚麻痺が永久に残ります。
F) 眉毛の動きの麻痺
手術操作の際に眉毛を持ち上げる筋肉を動かす神経の近くを触る必要があります。そのため、眉毛が上がりにくくなることがあります。
対応
額の顔面神経が麻痺して、眉毛が上がりにくくなることがありますが、約1~3 ヶ月で治まります。
回復するまでの間、眉毛の左右差が目立つ時にはボトックスを額に注射してバランスをとることができます。
まれに、動きが完全に元通りには戻らないということもあります。
G) 切開箇所の一時的な脱毛
額の切開箇所の毛が傷に沿って、一時的に脱毛します。
対応
ほとんどの場合再生しますが、最終的に数ミリ幅の脱毛が残ります。
タバコを吸われる方は、毛が再生せず脱毛範囲が広がることがあります。
H) プロテーゼのずれ
手術後、プロテーゼのずれが起こる可能性があります。
対応
プロテーゼの明らかなずれが認められた場合は、前回と同じキズを切開してプロテーゼの位置を調整し、スクリューで固定致します。
また、抜去を希望される場合、抜去致します。
I) 額が膨らみすぎる
希望よりも額が膨らみすぎたと感じることがあります。手術から3 ヶ月は額の皮膚のむくみが原因と考えられます。
対応
4 ヶ月以上経過しても額が大きすぎると感じる場合は、プロテーゼ抜去もしくは小さいプロテーゼに入替えをおすすめします。
J) 額の膨らみが足りない
額の膨らみが足りないと感じる場合があります。
対応
額の膨らみが足りないと感じる場合、大きいシリコンプロテーゼへの入替え、もしくはヒアルロン酸や脂肪注入により大きくする方法があります。
※プロテーゼの大きさには限界があります。用意できるシリコンプロテーゼより大きなものを希望される場合は骨セメントで額を作ることをおすすめします。
K) 額の異物感
手術後、額に異物感を感じることがあります。
対応
時間の経過とともに異物感は無くなりますが、抜去を希望される場合、抜去致します。
L) 骨の変形
長年に渡るプロテーゼの圧迫により額の骨が吸収されて骨の表面に凹みできることがあります。
対応
長年に渡るプロテーゼの圧迫により額の骨が吸収されて骨の表面に凹みできることがありますが、通常は問題になりません。
M) プロテーゼの輪郭が浮き出る
額の皮膚が薄い方はプロテーゼの輪郭が浮き出て見えることがあります。
対応
額の皮膚が薄い方でプロテーゼの輪郭が浮き出て見える場合は、プロテーゼの抜去、もしくはプロテーゼ入替、骨セメントで額を作り替える、輪郭をぼかすためにヒアルロン酸注入、または脂肪注入で対応できます。
N) スクリューが触れる・異物感を感じる
チタン製のスクリューを使用してプロテーゼを骨に固定します。スクリューの頭の部分が額の皮膚の上から触れたり異物感を感じたりすることがあります。
対応
チタン製のスクリューを使用しています。骨とのなじみが良いので基本的には抜去の必要はありません。
異物感による修正を希望される場合は、術後4 ヶ月以降(プロテーゼが固定されてから)に抜去させていただきます。
O) レントゲン・CT・MRIに対する影響
額に入れたプロテーゼは画像に写ります。しかし、CT やMRI の検診を受けて頂くことに支障はございません。
対応
レントゲン・CT・MRIいずれの検査も問題なく受けて頂けますが、シリコンプロテーゼとスクリューは写ります。
額プロテーゼのよくある質問
プロテーゼ挿入のダウンタイムはどのくらいですか?
大まかな腫れやむくみは1~2週間程度です。
個人差ありますが、ヒアルロン酸注入は馴染むまで1週間程かかります。
プロテーゼの場合には大まかな腫れやむくみは1~2週間程度です。内出血が出た場合には10日前後で消失しその間お化粧でカバー頂けます。
プロテーゼの場合には大まかな腫れやむくみは1~2週間程度です。内出血が出た場合には10日前後で消失しその間お化粧でカバー頂けます。
額プロテーゼの傷は目立ちますか?
目立つ傷にはならずほとんどわからなくなります。
額プロテーゼは、髪の毛の生え際部分から手術を行います。
傷は生え際のため見えにくく、時間の経過とともに目立ちにくくなります。
術後間もない間は前髪でカバー頂けます。
傷は生え際のため見えにくく、時間の経過とともに目立ちにくくなります。
術後間もない間は前髪でカバー頂けます。
額のヒアルロン酸からプロテーゼに変えられますか?
可能です。
ヒアルロン酸が注入されている場合、まずはヒアルロン酸分解注射を行うことで問題なく手術を行うことができます。
分解されない注入剤の場合には手術中に可能な限り摘出切除したうえ、プロテーゼを用いおでこの形態を整えます。
分解されない注入剤の場合には手術中に可能な限り摘出切除したうえ、プロテーゼを用いおでこの形態を整えます。
以前に入れた額プロテーゼの入替はできますか?
入替出来ます。
プロテーゼの曲がりや大きさ、形が気に入らないなどさまざまな理由からプロテーゼの入れ替えを希望される方がいらっしゃいます。
当院では適切にプロテーゼを除去し、入れていた空間を綺麗に洗浄を行い新たなプロテーゼを最適な形に整え挿入します。
ご状態やご希望のデザインによって冠状切開からの額形成術が必要となる場合があります。
当院では適切にプロテーゼを除去し、入れていた空間を綺麗に洗浄を行い新たなプロテーゼを最適な形に整え挿入します。
ご状態やご希望のデザインによって冠状切開からの額形成術が必要となる場合があります。
額プロテーゼ手術後、注意することはありますか?
術後1ヶ月程は強い衝撃や刺激にはご注意下さい。
額プロテーゼの術後、形が安定するまでは強い刺激や衝撃には注意頂き、うつ伏せの姿勢や帽子を被る、ゴーグルの着用にも注意頂いています。術後1ヶ月程は安静にすることが必要です。
使用する麻酔は?
手術中は眠って頂く麻酔を使用します。
患者様の手術中のご負担を軽減を考慮し、麻酔は静脈麻酔+ラリンゲルマスク麻酔を使用致します。
手術中は終始眠った状態のため痛みや怖さを感じることはありません。
術後には、痛み止めなどの内服薬をお渡ししています。
手術中は終始眠った状態のため痛みや怖さを感じることはありません。
術後には、痛み止めなどの内服薬をお渡ししています。
リスク
腫れ、アレルギー、眉毛が動きにくくなる、内出血などが生じる場合があります。