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この記事の監修
仲宗根 医師
ヴェリテクリニック 医師
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糸リフトとは、フェイスリフトと違ってメスを使わずに顔のたるみを引き上げることができるエイジングケアとして人気の治療法です。
施術が短時間で終わる上、ダウンタイムも短く自然な仕上がりが期待できることが特徴です。
今回は、糸リフトの具体的な効果や治療に使用する糸の種類、そしてフェイスリフトとの違いについて分かりやすく解説します。
顔のたるみが気になり自身に合う治療方法を探している、という方はぜひ参考にしてくださいね。
- 糸リフトは切らずに行うリフトアップ術
- 溶ける糸と溶けない糸の2種類
- フェイスリフトとは施術時間やダウンタイム、傷跡の大きさなどが違う
- 糸リフト施術後のダウンタイムの過ごし方に注意
目次
糸リフトとは?
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まずは、糸リフトの特徴について解説します。
切らないリフトアップ
糸リフトは「切らないリフトアップ」といわれ、トゲがついた専用の糸をたるみが気になる部位に挿入し皮下組織を引き上げます。
”たるみ”と一言で言っても、ほうれい線や口元のもたつき・マリオネットラインなど人によって症状はさまざまです。
糸リフトの施術では、ひとりひとりの肌状態に合わせて適切な角度から必要な本数の糸を挿入してたるみを治療します。
溶ける糸と溶けない糸がある
糸リフトで使う糸には「溶ける糸」と「溶けない糸」があり、症状や悩みに合わせて選択することが可能です。
溶ける糸は体内に挿入後、一定期間を過ぎると糸が体に吸収され消滅します。
溶けない糸は、溶ける糸と違って一定期間を過ぎても体内に糸が残ります。
この場合、溶けない糸が体に残っている限りリフトアップ効果が続くかというと、そういう訳ではありません。
溶けない糸での施術は、糸の皮下組織への引っかかりが弱まると同時に、リフトアップ効果は徐々に薄まっていきます。
糸リフトの施術の流れ
- カウンセリングで施術箇所を決める
- 施術箇所の消毒と麻酔を行う
- 専用の糸が入った針を挿入
- 針を抜いて糸を引き上げ調整する
- 余った糸を切る
- 施術箇所の消毒を行う
糸リフトの施術は、上記のような流れで行います。
施術時間は30分程度で、非常にスピーディーに行える美容施術です。
糸リフトの効果
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糸リフトには、たるみ改善をはじめさまざまな効果があります。
たるみや肌のハリを改善
糸リフトにはたるみ改善や美肌効果が期待できます。
気になる部位にトゲのついた専用の糸を挿入し、たるみを引き上げるのと同時に糸周辺の皮下組織を刺激。
その結果、皮下組織ではコラーゲンの生成が促され、肌のハリも同時に改善されます。
老化予防
糸リフトの施術は、たるみがひどくなってからではなく予防的に施術するエイジングケアのひとつとしても注目されています。
リフトアップと聞くと、年齢が上の方向けの美容施術に思う方も多いかもしれません。
しかし、糸リフトを若いうちからやっておくことで、大きなたるみを防ぐこともできます。
小顔効果
糸リフトによってたるみを改善し、フェイスラインが引きあがったことで小顔効果も期待できるでしょう。
たるんでいた頬をリフトアップさせ、今まで隠れていたアゴのラインが出ることでシャープな印象に変わります。
また、顔の重心が下にある下重心顔の方や下膨れ顔の方は、若い方であっても年齢を問わず、十分な効果を得ることができます。
糸リフトの種類
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糸リフトの施術では「溶ける糸」と「溶けない糸」が使われます。
溶ける糸にはいくつかの種類があり、それぞれ原料やリフトアップ持続期間が異なります。
糸の種類についてそれぞれの特徴をまとめました。
溶ける糸
まずは糸リフトに使われる、溶ける糸の特徴について見ていきましょう。
溶ける糸の種類 | リフトアップ持続期間や特徴 |
---|---|
PDO(ポリジオキサノン) | リフトアップ持続期間:半年〜1年 タンパク質から生成され外科手術などでも使用されている 細かいシワに対応しやすく自然なリフトアップが得意 |
PCL(ポリカプロラクトン) | リフトアップ持続期間:2〜3年 FDA(アメリカ食品医薬品)に承認されている安全性の高い糸 溶ける糸の中でも比較的柔らかく表情になじみやすい リフトアップ効果が高く溶ける糸の中ではリフトアップ期間が最も長い |
PLA(ポリ乳酸) | リフトアップ持続期間:1〜2年 植物が原料で硬いためリフトアップ効果が高い PLAもPCL同様にFDA承認済み |
PLLA(ポリ₋L₋乳酸) | リフトアップ持続期間:1年半ほど 植物が原料の生分解性ポリマー 結晶性が高く硬い 単独では使用せずPCLなどの柔らかい糸と混ぜて使用する |
溶けない糸
次に、糸リフトに使われる溶けない糸の特徴です。
溶けない糸 | リフトアップ持続期間と特徴 |
---|---|
ポリエステルやシリコン製の糸 | リフトアップ持続期間:3年ほど 溶ける糸に比べて持続期間が長いが効果は永久ではない 医療用の素材で50年以上バイオ素材として使われる安全性の高い糸 伸縮性があってリフトアップ力が高い |
糸リフトとフェイスリフトの違いを比較
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糸リフトとフェイスリフトは、どちらもほうれい線やマリオネットラインなど、たるみを改善する治療です。
”切らないリフトアップ”と糸リフトについて紹介しましたが、他にはどのような違いがあるのでしょうか。
糸リフトとフェイスリフト、2つの違いについて解説します。
リフトアップ持続期間の違い
糸リフトの持続期間 | フェイスリフトの持続期間 |
---|---|
半年〜最長3年 | 5〜10年以上 |
まず挙げられるのが、リフトアップの持続期間の違いです。
糸リフトの効果が半年〜最長3年であることに対し、フェイスリフトは5〜10年以上リフトアップ効果が続きます。
また、施術後のリフトアップ効果についてはフェイスリフトの方が強く実感しやすいことが違いのひとつです。
施術方法の違い
糸リフトの施術方法と時間 | フェイスリフトの施術方法と時間 |
---|---|
方法:切らずに糸を挿入 時間:約30分 | 方法:皮膚を剥がし引き上げて縫合 時間:2〜4時間 |
糸リフトとフェイスリフトは施術方法も異なります。
糸リフトは皮膚を切らずに糸を挿入して引き上げるのに対し、フェイスリフトはたるんだ皮膚や筋膜などを剥がして引き上げ、余った皮膚を切除して縫い合わせる施術方法です。
施術時間も糸リフトは約30分、フェイスリフトは2〜4時間とかなりの差があります。
フェイスリフトの施術方法はどれだけたるみがあっても改善できますが、糸リフトは重度のたるみは対応できない可能性が高いです。
ダウンタイムの違い
糸リフトのダウンタイム | フェイスリフトのダウンタイム |
---|---|
期間:1〜2週間(なじむまでは約1ヶ月) 症状:腫れ・むくみ・内出血・痛み | 期間:約2週間(傷が完治するまでは約3カ月) 症状:腫れ・むくみ・内出血・痛み 処置:1〜2週間後に抜糸 |
どちらも約2週間ほどで腫れや内出血が落ち着きますが、フェイスリフトは切開を伴うため、傷が完治するには約3カ月ほどの期間が必要です。
また、フェイスリフトで患部にドレーンを挿入している場合は施術翌日以降にドレーン除去、施術後約1〜2週間で抜糸があります。
ドレーンとは、体内に溜まった血液や体液を体外に排出するための医療用のチューブです。
糸リフトのメリット・デメリット
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メリットの多い糸リフトですが、施術前にはデメリットもしっかり理解しておきましょう。
ここからは糸リフトのメリット・デメリットについて解説します。
糸リフトのメリット
糸リフトのメリットは以下の点です。
- 切らないため施術痕が目立ちづらい
- 短時間で施術できダウンタイムが短いので手軽に受けられる
- 糸による引き上げの他に美肌効果も感じられる
- 施術直後から効果を実感できる
- 若いうちから施術を受けることでたるみ予防ができる
- 他の美容施術と組み合わせられる
糸リフトは切らずに短時間で手軽にリフトアップができます。
挿入する糸にはコグと呼ばれるトゲがついていて、そのトゲの刺激によって皮下組織内でコラーゲンやエラスチンの生成が促されることもメリットのひとつです。
将来のたるみ予防として、20代から糸リフトを受ける人もいます。
ヒアルロン酸注入との併用で、よりリフトアップ効果の満足度を上げるなど、他の美容施術と組み合わせて利用することも可能です。
糸リフトのデメリット
糸リフトのデメリットは以下の点です。
- 施術の効果は永久ではない
- 強いたるみは施術が効果的でない場合がある
糸リフトは、施術によってリフトアップ効果を実感できても、その効果は永久に続くものではありません。
溶ける糸の場合は半年〜3年ほどで効果は薄れます。
溶けない糸の場合は糸が残りますが、年数とともに皮下組織の引っかかりが弱くなるなどしてリフトアップ効果は減っていくでしょう。
溶けない糸の中でも、「金の糸」は金属製であるため、ハイフやレーザーなどの熱を与える治療が、将来的に受けられなくなる可能性があります。
また、糸リフトの施術は強すぎるたるみには効果を実感しづらい点もデメリットといえます。
糸リフトのダウンタイムや経過
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糸リフトの施術を受けたあとのダウンタイムの症状や過ごし方について解説します。
傷跡の大きさ
糸リフトを受けたあとの目で見て分かる傷跡は針を通した小さな穴だけです。
傷跡は小さいですが、施術直後は赤くなっています。
少し目立つように感じるかもしれませんが、髪の毛などで隠すことができる程度の傷です。
腫れ・むくみ・内出血・痛み
施術後は、一時的に腫れやむくみ、内出血が現れることがあります。
個人差はありますが、1週間程度で落ち着くことが多いです。
施術後の一般的な流れについて下記にまとめました。
施術後の日数 | 患部の状態 |
---|---|
直後 | 腫れや痛みが出る。 一時的に施術箇所に凸凹が見られることもある。 痛み止めが処方される場合もある。 |
翌日 | 翌日から2,3日は腫れやむくみ、内出血などの症状のピーク。 人によっては引きつれのようなツッパリ感を感じることも。 |
1週間後 | 痛みや腫れがひいてくる。 |
2週間後 | 内出血が治まってくる。 |
1ヶ月後 | 凸凹感もなくなり肌になじんでくる。 |
ダウンタイムは1週間〜1ヶ月(個人差あり)
糸リフトは、施術後1週間ほどで痛みや腫れ・むくみなどの症状が落ち着くのが一般的です。
患部がなじんで皮膚の引きつれなどの違和感がなくなるまで1ヶ月ほどかかります。
ダウンタイム中は顔のマッサージや他の美容施術などは避け、患部を刺激しないように過ごします。
糸リフトのリスクや副作用
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糸リフトにはリスクや副作用もあります。
糸リフトのリスク
糸リフトの施術によって感染症が起こる場合があります。
何らかの理由で患部に雑菌が入り込むことが原因です。
感染症が起こると、熱感や強い痛み・強い腫れといった症状が現れます。
まれに糸に対するアレルギー反応が起こることもあります。
症状は、軽いものから重篤なものまで個人差があるため、信頼できるクリニックに依頼するのが大切です。
糸リフトの副作用
糸リフトの施術箇所に腫れやむくみ、赤みが見られることがあります。
多くの場合は1週間ほどで改善しはじめ、2週間ほどで治まることが多いです。
また、副作用のひとつに患部の引きつれ感やツッパリ感を感じることもあります、
この症状も1〜2週間程度で改善されるものです。
副作用の症状が長引く場合は、早めにクリニックへ相談しましょう。
糸リフトに関するよくある質問
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糸リフトの施術について、よくある質問についてお答えします。
Q
施術後のメイクはいつからできる?
A
施術翌日からメイクが可能です。
内出血もメイクでカバーできるので、翌日から仕事復帰する方も多くいます。
Q
ダウンタイム中に気をつけることは?
A
ダウンタイムでの副作用を長引かせないためにも、以下のことに気をつけて過ごす必要があります。
- 施術箇所を刺激しない
- 寝るときはできるだけ仰向けで寝る
- 激しい運動は控える
- 長時間の入浴やサウナの利用を控える
- 口を大きく開けないようにする
- レーザー治療や歯科治療は控える
Q
追加の治療はできる?
A
糸リフトは追加の治療が可能です。
糸リフトは効果が永久に続くものではありません。
たるみ改善の治療として、定期的に糸リフトの施術を受けるのがおすすめです。
ただし、溶けないタイプの糸を使用する場合は体内に糸が残るため医師とよく相談してから追加の施術を受けましょう。
Q
リフトアップ効果を長持ちさせる方法はある?
A
リフトアップ効果を長持ちさせるには「顔に強い刺激を与えない」「仰向けで寝る」など、ダウンタイム中の注意点について引き続き意識して過ごすことが大切です。
また、定期的に糸リフトの施術を受けることもリフトアップ効果維持のためのひとつの方法です。
まとめ
糸リフトの治療内容や糸の種類、フェイスリフトとの違いなどについて紹介しました。
- 糸リフトは日帰りでできる切らないリフトアップ術
- リフトアップの効果以外に腫れやむくみなどの副作用がある
- メリットやデメリットもよく理解した上で選択するのがおすすめ
- 糸リフトは挿入した糸を引き上げる、フェイスリフトは皮膚を剥がして引き上げて縫い付ける施術
- 糸リフトの持続期間は半年〜3年、フェイスリフトの持続期間は5〜10年
糸リフトの施術で使われる糸には、溶ける糸と溶けない糸の2種類があります。
どちらにも、コグといわれるトゲがついていて皮下組織内部を引っかけることでリフトアップします。
フェイスリフトは皮膚を剥がして行う大掛かりな施術なのに対して、糸リフトは針で糸を挿入するため施術後の傷が目立ちづらい特徴があります。
施術時間は30分程度と、手軽さも感じられる糸リフトですが、施術後は腫れや痛み・むくみなどの副作用が出ることも多いです。
ダウンタイム中は患部を刺激しないようにする、長時間の入浴は避けるなど、いくつかの点に注意して過ごします。
1ヶ月ほど経つと、挿入した糸が肌になじみ違和感もなくなるでしょう。
リフトアップできる美容施術をお探しの方は、まずはカウンセリングでご相談ください。