この記事の監修
三苫 医師
ヴェリテクリニック 医師
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「皮膚科のシミ取りって保険適用でできるの?」
「そばかすは保険適用でレーザー治療できる?」
顔のシミ消しができる、皮膚科のシミ取り治療。
しかし「保険適用でシミ取りってできるの?」「自由診療のシミ取りは高そう…」と治療費が不安で、シミ取り治療をためらっている方も多いですよね。
今回は保険適用でシミ取りが受けられるのかという疑問について、徹底解説!
保険適用になるシミの種類から自由診療の場合の料金目安、シミ取りクリニックの選び方まで解説していくので、皮膚科のシミ取りに興味がある方は参考にしてみてください。
目次
シミ取りの保険診療と自由診療の違いを比較
まず、シミ取りの保険診療と自由診療の違いについてみていきましょう。
診療の種類 | 保険診療 | 自由診療 |
---|---|---|
治療を受けられる場所 | ・皮膚科 | ・美容皮膚科 ・美容外科 |
治療の目的 | 疾患の治療 | 美容目的のシミ改善 |
料金負担の割合 | 約3割負担 | 10割負担 |
治療できるシミの種類 | ・太田母斑(おおたぼはん) ・扁平母斑(へんぺいぼはん) ・異所性蒙古斑(いしょせいもうこはん) ・外傷性色素沈着 ▼詳しく見る | ・老人性色素班 ・肝斑 ・そばかす ・炎症後色素沈着 ▼詳しく見る |
保険適用でシミ取りができる場所は、主に一般皮膚科です。
疾患の治療が目的とされるため料金が約3割の負担で済み、費用が抑えられることが最大の魅力。
ただし治療できるシミの種類が限られているため、自分のシミが当てはまるかを見極める必要があります。
一方、自由診療は美容皮膚科や美容外科で受けることができ、治療できるシミの種類が多いです。
料金は10割負担になるため、なるべく費用を抑えたい方は割引キャンペーンなどを上手く利用するといいでしょう。
つぎに、「保険適用になるシミ」と「保険適用にならないシミ」について詳しく解説していきます。
保険適用になるシミの種類(皮膚科)
皮膚科で保険適用になるシミの種類は、下記のようなものがあります。
保険適用はアザのようなシミ、先天性やケガによってできたシミなどが対象です。
それぞれのシミについて詳しく解説していきます。
保険適用のシミ①太田母斑(おおたぼはん)
シミの特徴 | 主な治療方法 |
---|---|
・青色~茶色 ・生後すぐ~思春期ごろにできる | ・レーザー治療 |
太田母斑(おおたぼはん)は、正確には点状のアザです。
生後すぐ、もしくは思春期ごろに現れることが多いです。
見た目は青~茶色をしており、茶色の太田母斑の場合はそばかすと勘違いされることも。
そのため個人で判断せず、必ず皮膚科で医師に診断をしてもらいましょう。
太田母斑は自然に消えることがないシミ(アザ)ですが、保険適用で治療が受けられます。
保険適用のシミ②扁平母斑(へんぺいぼはん)
シミの特徴 | 主な治療方法 |
---|---|
・褐色、カフェオレのような色 ・生まれつき、もしくは乳幼児期にできる ・かたちは様々ある ・顔や体にできる | ・レーザー治療 |
扁平母斑(へんぺいぼはん)は、生まれつき、もしくは乳幼児の時期にできる茶色のアザです。
色は褐色で、海外では「カフェオレ班」と呼ばれることも。
扁平母斑のかたちは人により様々で点状のまだらなもの、ギザギザとしたものなどがあり、顔だけでなく体にもできます。
悪性はありませんが、見た目が気になる方は保険適用でシミ取り治療が可能です。
保険適用のシミ③異所性蒙古斑(いしょせいもうこはん)
シミの特徴 | 主な治療方法 |
---|---|
・灰色~青色 ・10歳以降も残る、もしくは新しくできる | ・レーザー治療 |
異所性蒙古斑(いしょせいもうこはん)は、太田母斑と同じくアザの1種です。
日本人の赤ちゃんのお尻には、ほぼ100%「蒙古斑」と呼ばれる青あざがあります。
多くの子どもは10歳ごろまでに蒙古斑が消失しますが、ほかの部位にできる蒙古斑のことを「異所性蒙古斑」と呼びます。
お尻以外にできた異所性蒙古斑は、自然に消える可能性が低いと言われており保険適応となります。
保険適用のシミ④外傷性色素沈着
シミの特徴 | 主な治療方法 |
---|---|
・茶色~黒色 ・傷口に異物が侵入して起こる | ・レーザー治療 |
外傷性色素沈着とは、ケガにより異物が侵入し色素沈着を起こしてしまったシミのこと。
たとえば、傷口から砂が入り込み色素沈着を起こしてしまった場合などが挙げられ茶色~黒色をしています。
この場合も、保険適用でのシミ治療が可能です。
保険適用にならないシミの種類(美容皮膚科の自由診療)
ここからは、保険適用にならないシミの種類を解説していきます。
保険適用にならないシミ治療は美容皮膚科などで受けることができ、下記のようなシミが対象です。
それぞれのシミについて、詳しく解説していきます。
保険適用にならないシミ①老人性色素班
シミの特徴 | 主な治療方法(自由診療) |
---|---|
・薄褐色~茶色 ・顔や手の甲など日光がよくあたる部分に出来やすい ・肌とシミの境目がクッキリしている | ・レーザー治療 |
老人性色素班は、シミの代表格で紫外線が原因です。日光がよくあたる部位にできやすい傾向にあります。
色は薄褐色〜茶色で、肌との境目がクッキリしていることが特徴。
20代〜40代くらいで気になり始める人が多く、濃くなってしまうとセルフケアでは改善が難しいこともあります。
美容皮膚科での主な治療方法は、自由診療でのレーザー治療が代表例です。
保険適用にならないシミ②肝斑
シミの特徴 | 主な治療方法(自由診療) |
---|---|
・薄い褐色~濃い褐色 ・目の下~頬などに左右対称にできる ・モヤモヤと境目がぼんやりしたシミ | ・トーニング ・内服薬 ・外用薬 |
肝斑は、目の下〜頬などに左右対称にできるモヤモヤとしたシミです。
色は薄い褐色〜濃い褐色ですが、老人性色素班と違いシミと素肌の境目がぼんやりしていることが特徴。
30代前後に目立ち始めることが多くホルモンバランスが原因の可能性が高いとされていますが、保険適用での治療は受けられません。
美容皮膚科での主な治療方法は、自由診療によるトーニング、外用薬、内服薬などがあります。
保険適用にならないシミ③そばかす(雀卵斑)
シミの特徴 | 主な治療方法(自由診療) |
---|---|
・茶色い粒状のシミ ・目の下、頬、鼻にできる ・幼少期~思春期に目立ち始める | ・トーニング治療 ・光治療 |
そばかすは遺伝性の要因が強いシミですが保険適用でのシミ取りはできません。
茶色の粒のようなシミで、顔だけでなく肩や腕にできることもあります。
肝斑との違いは、目立ち始める年齢が幼少期〜思春期であること。
大人になるにつれて薄くなる人もいますが、消えない場合は美容皮膚科で治療することが可能です。
自由診療によるトーニング治療、光治療で改善が見込めますよ。
保険適用にならないシミ④炎症後色素沈着
シミの特徴 | 主な治療方法(自由診療) |
---|---|
・ニキビや傷などの炎症後にできる ・灰褐色~茶褐色 | ・光治療 ・内服薬 ・外用薬 |
ニキビや傷跡による、炎症後色素沈着の治療も保険適用にはなりません。
保険適用になるシミに「外傷性色素沈着」がありましたが、炎症後色素沈着とは下記のような違いがあります。
- 炎症後色素沈着
…ニキビや傷などの炎症がダメージとなった色素沈着 - 外傷性色素沈着
…傷口に異物が入ったことによる色素沈着
つまり、異物によってできたシミでなければ炎症後色素沈着の可能性が高いでしょう。
炎症後色素沈着の色は灰褐色〜茶褐色で、皮膚の浅い層にできるシミであることも多く、美容皮膚科での診療が効果的。
自由診療の光治療、外用薬、内服薬などで改善が見込めますよ。
保険適用になるシミ取り治療とは?
ここからは、保険適用になるシミ取り治療について紹介していきます。
まず、保険が適用されるのはシミの種類が基準です。
「この治療法は保険適用だから、美容目的でも利用できる」というわけではなく、あくまでも「保険適用のシミに用いられる、治療の種類」という風に考えましょう。
保険適用のシミ取りは【レーザー治療】が使われる
保険適用のシミ取り治療に使用されるのは、レーザー治療が一般的です。
先述のとおり、保険が適用されるのは「太田母斑」「扁平母斑」「異所性蒙古斑」「外傷性色素沈着」のシミ取り治療で下記のようなレーザー機器が使われます。
保険適用のレーザー機器の例
機械名 | 対象のシミ |
---|---|
Qスイッチ ルビーレーザー | ・太田母斑 ・扁平母斑 ・異所性蒙古斑 ・外傷性色素沈着 |
Qスイッチ アレキサンドライトレーザー | ・太田母斑 ・異所性蒙古斑 ・外傷性色素沈着 |
ピコレーザー |
Qスイッチのレーザー2種は、高いエネルギーのレーザーを照射することができる機械。
この2つレーザーの違いは波長の長さであり、ルビーレーザーよりもアレキサンドライトレーザーの方が波長が長く、より肌の深部まで波長を届けることが可能です。
ただし、アレキサンドライトレーザーは扁平母斑において保険適用ではないので注意しましょう。※2024年4月現在
ピコレーザーは照射する時間がごくわすがな「ピコ秒(1兆分の1秒)」であるため、肌負担が抑えられ少ない回数でのシミ取りが狙えます。
ピコレーザーについても扁平母斑は保険適用ではないので、気をつけてくださいね。
また、どの深さまでレーザーを到達させる必要があるかは医師の診察によって見極めてもらう必要があるため、不安な方はなるべく多くの機械を導入しているクリニックが安心でしょう。
保険適用のシミ取りの方が安い?自由診療の料金と比較
ここでは「保険適用のシミ取り」と「自由診療のシミ取り」のどちらが安いのかを、比較していきます。
保険適用・自由診療のシミ取り料金比較
保険適用の料金目安 | 自由診療の料金目安 |
---|---|
約1,500円~/5mm | 約5,000円~/5mm |
実は自由診療のシミ取り治療においても、最近は料金が安くなっている傾向があるため1回1万円以下でシミ取りが可能なクリニックも多いです。
保険適用の方が、より安くシミ取りが受けられますが「老人性色素班だから自由診療で料金が高額になる」ということではありません。
とくに自由診療は、割引キャンペーンやお試し価格などを設けているクリニックもあります。
自由診療でもなるべく料金を抑えてシミ取りができる方法もあるので、気になるクリニックはこまめに公式サイト・SNSで情報をチェックするのがおすすめです。
保険適用には【回数制限】がある
保険適用のシミ取りの中で、Qスイッチルビーレーザーとピコレーザーを使用する場合は回数制限があるので注意しましょう。※2024年6月現在
シミの種類にもよりますが、同一部位に対して2〜5回の回数制限があります。
上記2種類のレーザーは、限度回数を超えて照射する場合には料金が10割負担となるので注意しましょう。
シミ取りは皮膚科と美容皮膚科どっちがおすすめ?
ここまで、保険適用のシミ取りについて解説しましたが「皮膚科と美容皮膚科、結局どっちがおすすめなの?」という疑問が湧きますよね。
結論から言うとどちらがおすすめということはなくシミの種類によって、皮膚科か美容皮膚科かを選ぶべきだと言えます。
皮膚科と美容皮膚科で迷ってしまう人は、つぎに解説する「皮膚科のシミ取りがおすすめな人」「美容皮膚科のシミ取りがおすすめな人」も参考にしてみてくださいね。
皮膚科のシミ取りがおすすめな人
まずは、皮膚科でのシミ取りがおすすめな人の特徴を解説します。
皮膚科のシミ取りは下記のような人がおすすめです。
- 保険適用のシミがある人
- 内服、外用薬からシミ治療を始めたい人
まず、自分のシミが「保険適用のシミ」である人は皮膚科でのシミ取りがおすすめです。
ただし、すでに紹介しているとおり回数制限のあるレーザー機器もあるため「保険適用でシミ取りをしたい」という方は皮膚科が導入している機械の種類にも注意が必要です。
さらに「保険適用ではないシミ」であっても、皮膚科で内服のビタミン剤や外用薬の処方が受けられる場合もあります。
保険適用ではありませんが、料金が数千円からの治療なので「まずは手軽なシミ治療から始めてみたい」という人は検討してみるのがおすすめです。
内服・外用薬の取り扱い内容は皮膚科によって違うため、事前の確認は忘れないようにしてくださいね。
美容皮膚科のシミ取りがおすすめな人
つぎに、美容皮膚科がおすすめなのは下記のような人です。
- シミの種類が保険適用外である人
- シミを含め、総合的に美肌を目指したい人
「保険適用ではないシミ」を治療したい人は、美容皮膚科でシミ取りをしましょう。
また、美容皮膚科はシミ以外にも幅広い肌悩みを治療できることが魅力。
「シミも気になるけれど、肌全体の透明感もほしい」「シミと毛穴を一緒に改善したい」といった希望も叶えられます。
ただし治療できる肌悩みや導入している機械はクリニックごとに違うため、こちらも事前の確認を忘れないようにしましょう。
シミ取り治療ができるクリニックの選び方
さいごに、シミ取り治療ができるクリニックの選び方を紹介します。
シミ取り治療をする際は、下記のポイントを重視してクリニックを選びましょう。
- 料金が高すぎないか
- 通いやすいか
- 皮膚科と美容皮膚科が併設されているか
それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。
ポイント①料金が高すぎないか
まずは、料金が高すぎないかをチェックしましょう。
シミ取り治療は1回でもシミが薄くなったことを感じられますが、素肌と同じような状態まで改善するには5回ほど回数が必要になる可能性もあります。
そのためシミ取りを5回受けた場合を想定したうえで、費用的に無理がないクリニックを選ぶのがおすすめです。
また、料金をチェックするときに追加料金も確認しましょう。
たとえば、下記のような追加料金に注意が必要です。
- 診察代
- 麻酔代
- 薬代
診察代や麻酔代はシミ取り治療のたびにかかってしまうので、無料のクリニックを選ぶと料金を抑えることができます。
さらに万が一の肌トラブル時に必要な薬代も、無料で処方してくれるクリニックだと安心ですね。
ポイント②通いやすいか
先述のとおり、シミ取りは数回の治療が必要な場合があります。
そのため、クリニックが通いやすい立地にあるかをチェックしましょう。
とくに、自宅の近くや職場・学校の近くなど生活圏内にあるクリニックを選ぶと通いやすいですよ。
生活圏内に気になるクリニックがない方はよく買い物や遊びに行くところなど、なるべく馴染みがある場所の周辺でクリニックを探すといいでしょう。
ポイント③皮膚科と美容皮膚科が併設されているか
さいごに、一般皮膚科と美容皮膚科が併設されているかをチェックしましょう。
自身のシミが「保険適用のシミ」か、それとも「自由診療でしか治療できないシミ」なのかは、最終的に医師の診察によって決まるからです。
よって「保険適用だと思ったのに、自由診療しか受けられないシミだった」という事態が起こる可能性もあります。
その場合、美容皮膚科を探し直す必要があり、手間がかかります。
そしてもう一度美容皮膚科でも診察を受けてからシミ取り治療がスタートするので、診察代や交通費もかかってしまいます。
そのため、なるべく皮膚科と美容皮膚科が併設されたクリニックを選ぶことがおすすめですよ。
- 自分のシミが保険適用か自由診療かハッキリわかっている方は、クリニック選びのポイント①~②のみでも問題ありません
まとめ
シミ取りの保険適用について、自由診療との違いからシミの種類の解説、クリニック選びのポイントまで紹介しました。
この記事の内容をまとめると下記のとおりです。
- 保険適用は料金が約3割負担、自由診療は10割負担になる
- 皮膚科で保険適用されるシミの種類は「太田母斑」「扁平母斑」「異所性蒙古斑」「外傷性色素沈着」がある
- 自由診療になるシミは、主に「老人性色素沈着」「肝斑」「そばかす」「炎症後色素沈着」がある
- 保険適用によるシミ取りレーザーの料金目安は1回約1,500円~、自由診療は1回約5,000円~が目安
- シミ取りをするクリニックは「機械」「料金」「通いやすさ」「皮膚科・美容皮膚科が併設されているか」をチェックして選ぶ
皮膚科で保険適用のシミ取りをするには条件がありますが、対象のシミがある方は料金を抑えてシミ取り治療が可能です。
ただし「自由診療だから高額」というわけではなく、クリニックによっては割引キャンペーンやお試しプランなどの利用で料金が抑えられることも。
また料金だけでなく機械や立地なども含め自分に合った治療ができるクリニックを探すことで、満足度の高いシミ治療を受けることができますよ。