数年ごとに気づく老化は「まぶた」にも
たるみまぶたの原因とは?
まぶたにたるみはなぜ起こるのでしょうか? 要因として、まず日常生活での行動があります。まぶたの中にはまぶたを持ち上げる筋肉である「眼瞼挙筋腱膜(がんけんきょきんけんまく)」や「瞼板筋(けんばんきん)」があります。これらに対して繰り返し強い刺激が与えられると次第に筋肉が緩み、まぶたがたるんでしまうのです。
では、具体的な行動にはどのようなものがあるのでしょうか? みなさんにも心当たりのある例を挙げてみましょう。
・まぶたをこする
日常で多くやってしまいがちな行動がまぶたをこすることです。目にゴミが入るときや、目にかゆみがあるとき、眠気が酷いときなど、つい手で強くこすっていませんか? また、メイクを落とす際、泡立ちの少ないうちに顔に広げ始めてしまうこと、あるいは必要以上に強くこすってしまことなども当てはまります。
・コンタクトレンズの装用
コンタクトレンズを装用している方は、頻繁にまぶたに触りますよね。また、触るだけでなくまぶたを大きく開くために指で強く開くことも多いはずです。数年では変化を感じることはありませんが、長期にわたって使用し続けていると、まぶたが伸びてくる場合があります。
・アイプチの使用
10代半ばくらいから使用する方が増える「アイプチ」は、まぶたへの刺激が強く大きいです。特に厚みのある一重まぶたでも取れにくい粘着力の強力なアイテープなどを使用すると、剥がすたびにまぶたを伸ばす力が強くかかる恐れがあります。限られた機会での利用であれば影響は抑えられますが、日常的にアイプチを使用して生活しているのであれば、たるみまぶたのリスクは高くなります。
以上が、日常生活で行いやすいまぶたのたるみを引き起こす要因です。もう一点、特に30代以降の方に多い要因として老化があります。
・老化
老化とともに顔の表情筋、特に額や眉、目の周りやまぶたの筋肉が緩むことによって、目のほうへ重みがかかりまぶたが開きにくくなるケースがあります。
このように日々の暮らしの中で自らまぶたに負担をかけてしまい、たるみまぶたを作っている可能性があります。ぜひ注意したいですね。
たるみまぶたのデメリット
たるみまぶたが進行すると「眼瞼下垂(がんけんかすい)」という治療の対象となる状態になってきます。まぶたが黒目を覆ってしまい、視界が遮られる病気です。
眼瞼下垂のうち、眼瞼挙筋腱膜が伸びて起こるものを腱膜性眼瞼下垂と呼びます。上でご紹介した要因で起こるのはこのタイプの眼瞼下垂です。
通常の開き方ではまぶたが思うほど大きく開かないため、無理をして開くことになり、以下のような負担がかかってきます。
・頭部や肩の緊張による肩こり・痛み
眼瞼挙筋でまぶたを引き上げようとしても見えなくなり、眉を上げて補うようにするため、眉だけでなく額や頭部の筋肉も緊張してしまいます。首を後ろにそらせる無理な姿勢を取る場合も同様です。常に緊張した状態で過ごすことになりますのでその分だけ疲労感が強くなります。さらにデスクワークなどによって負担がかかると、酷い肩こりや筋緊張性の頭痛が出やすくなります。
・額のシワなど美容が損なわれる
常に眉を上げているため、額が狭く目と眉の間が広く見えるようになります。さらに額にシワが寄った状態が目立ってしまうこともあります
このように、たるみまぶたを進行させてしまうと、医療面でも美容面でもデメリットがあり、快適に生活することが難しくなる恐れがあるのです。
たるみまぶた対策:手術
たるみまぶたが進行して腱膜性眼瞼下垂と診断される場合、手術での治療が可能です。
では具体的にどのような手法があるのでしょうか?
・上眼瞼リフト
老化を伴うたるみまぶたの場合、眉の下からまぶたの間で脂肪が減ることにより皮膚が余ってしまうケースが多いです。この余った皮膚のうち眉下からまぶたの上の間を切除するのが「上眼瞼(じょうがんけん)リフト」です。切除というと傷跡が残るのではないかと心配になりますが、実際は眉毛の下になるので目立ちにくいです。
・ブローリフト
「ブローリフト」は上眼瞼リフトに似た手法です。切除部分が異なり眉の上部分の皮膚を切除するため、老化を伴う眼瞼下垂の方には重宝しますね。
・前額リフト
「前額リフト(ぜんがくりふと)」は髪の生え際に近い額の髪の生え際に近い部分を切除します。生え際を切除するため、傷跡が目立ちません。
以上の3つの手法の特徴は、その他の手法と異なり一重まぶたから二重まぶたに変えるような大きな外見の変化を伴わない点です。上眼瞼リフトのように眉毛と目の間が近くなるなどの変化はありますが、元々の目元の印象をあまり変えずにたるみを緩和したい方にはおすすめです。
一方、以下は現在一重まぶたの場合、二重まぶたに変化することを伴う手術となります。
・埋没法
埋没法は髪の毛よりも細い手術用の極細糸でまぶたを固定する方法です。糸で留める箇所は一番的に2
~4点です。また、点で留めず短いループを二重ラインに通す方法もあります。
・小切開法(部分切開法)
二重のラインに沿って余った皮膚を切除する手法です。上眼瞼リフト等が適用になる場合よりも皮膚のたるみが少ない場合に行います。全切開法と比べると切除範囲が小さいため傷跡は小さくて済みますが、二重のラインの形の仕上がりはやや劣ります。
・全切開法
まぶたの目頭から目尻にかけて二重のラインで切開し、余分な皮膚を取り除く手法です。小切開法に比べると二重のラインの仕上がりは良いです。しかし、埋没法に比べると術後の傷の治りに時間がかかり、手術だけでなく抜糸や経過観察のための診察が多くなります。ダウンタイムもより長いです。
リフトや切開法の場合、皮膚を切り取ってしまえばたるみはすぐなくなるという利点があります。しかし、その分だけ大がかりになるためにダウンタイムが長くなる点や、「二重まぶたの自分に違和感があるため一重に戻したい」となっても戻すことができない点、また費用が比較的高額になる点に注意が必要です。
これまでアイプチの経験がなく二重の自分がイメージできない方や、メスで手術をするのに抵抗がある方、侵襲性が低く比較的短時間で済む手術にしたい方には、埋没法をおすすめします。
たるみまぶた対策【埋没法】
では、初めてのたるみまぶた対策としておすすめの埋没法について詳しく見ていきましょう。
・埋没法とは?
筋膜性眼瞼下垂の治療としての埋没法は、巷で「プチ整形」と呼ばれることも多い一般的な美容整形と同じ手法です。2~4点で留めることが多いです。ヴェリテクリニックでは糸で作ったループでまぶたを留めます。埋没法の留め方は各医療機関で独自の術式・手技として発展させていることが多いほか、同じ医療機関内でも患者さまの個人差により変わることがあります。
・術前のカウンセリング
埋没法での眼瞼下垂の手術では、一重まぶたの方は特に見た目の変化を伴うため、事前のカウンセリングでしっかりとデザインと術式・手技を決めておく必要があります。例えば、二重のラインの幅の形は末広がり型・平行型のいずれかに好みが分かれますが、現在のまぶたの脂肪の厚さによって平行型を維持するのが難しい場合があります。なるたけ要望の形にできるように事前に要望と現状とですり合わせをしなければなりません。
埋没法では、究極的には「糸を外しさえすれば元に戻れる」わけですが、手術には負担がかかりますのでなるべく一度で済ませたいですよね。
・手術の内容
4点固定の埋没法を例にとってご紹介します。まず消毒をし、まぶたの施術する範囲に部分麻酔をします。その後、留める場所をマーキングしてから糸で留めていきます。約15分程度で手術は終わりです。
・ダウンタイムの過ごし方
埋没法は極細糸で縫い止めるだけのメスを使わない短時間の手術です。しかし、やはり術後は腫れが出たり内出血したりしますので、安静にしましょう。痛み止めや感染予防の塗り薬が処方されるので、術後から飲み始めます。
一般的には、当日は水がかからないようにします。洗顔やメイクは翌日から、運動は3~4日後、コンタクトは1週間後から可能とされることが多いですが、腫れや痛み次第では自主的に控えるとよいでしょう。学校や仕事のスケジュールの事前調整しておくことをおすすめします。
術後の経過には個人差があります。埋没法の場合、一般的に3~5年は持続します。ただし、まぶたの脂肪がもともと厚い方や若く肌の張りが強い方の場合、埋没法の糸により大きく負担がかかるためこの限りではありません。また、術後からのまぶたへの刺激の有無や強弱によっても差が出ます。
切開法の場合は基本的には持続するものの、加齢やコンタクトレンズの装用によってふたたびたるみが出てくる可能性はあります。
手術をしたから大丈夫と思うのではなく、もしそれまでの生活でまぶたへの刺激が大きく頻度も高いようなら生活習慣を改善するように努めることが大切です。
■眼瞼下垂が再発したらどうする?
埋没法や切開法による手術で眼瞼下垂がその後ずっと再発しないとは限りません。もし再発した場合には、たるみの度合い次第で上に挙げた手術の手法から再度選択するとよいでしょう。
また、埋没法の場合は再度埋没法にする方法もありますが、埋没法の糸も含めて余った皮膚を切除するリフトや切開法の可能性を検討したり、埋没法で残った糸を除去する手術を行ったりする方法もあります。
それまでのまぶたの治療経過を確認する必要がありますので、埋没法を受けた医療機関で実施するのがおすすめではありますが、諸事情で通院できない、したくない場合には対応できる他の医療機関に相談しましょう。
以上、たるみまぶたについて、原因とデメリット、治療法をご紹介いたしました。切らない美容整形である埋没法を用いれば、腱膜性眼瞼下垂の手術の負担が小さくてすみます。たるみまぶたのせいで見えづらくなってきたり眼精疲労や肩こりが酷くなってきたりしている方は、無理をせず、まずは治療が必要かどうか美容外科や形成外科などの医療機関にご相談されてみてはいかがでしょうか?
日常生活において鏡で顔を見る機会は何度もありますよね。洗顔や歯磨き、トイレ、手洗い、化粧など、行く先々で鏡に映った自分の顔を目にします。しかし、ただ見るのとじっくりと観察しながら見るのでは違うため、日常的に鏡で自分の顔を見ているのにも関わらず、スマホの写真の整理やSNSで過去の画像を見たときに、自分の老化に驚く方は珍しくありません。何年か前の自分の容姿と現在とがかなり違って見えるのは、日々の小さな変化には気づきにくいからなのです。
容姿の印象を変えるポイントの一つに「まぶたのたるみ」があります。目元の印象は顔立ちを良くも悪くも見違えるものにします。また、同時に見る機能を妨げることもあり、中には医療的な観点から治療の対象となるケースも含まれます。見逃すことのできない「たるみまぶた」について考えていきましょう。