■シミやニキビ跡の種類別で変わる美容外科での施術方法とマシン
■まずは肌の状態を詳しく把握しよう
人によってシミやニキビ跡、あざなど肌の悩みはさまざまですが、治療法を見極めるためには肌の状態を正しく把握することが大切です。また、施術を受ける前にクリニックのホームページなどで該当する施術法や、手術の際の痛みやダウンタイム、注意事項などもあらかじめ知っておきましょう。
まずは以下で、それぞれの症状についてご紹介します。色や大きさ、形などを見ながら自分の肌がどの状態に当たるか確認しましょう。
・ニキビによる色素沈着
ニキビが進行すると化膿や炎症によって肌の奥の毛細血管が破壊されてしまい、出血が起こります。すると、ニキビが治った後に色素沈着が起こることがあります。化膿や炎症から肌を守るために細胞からメラニンが大量に形成され、これが肌の中に残ることも色素沈着の要因です。最初は紫色になりますが、次第に茶色に変化していきます。
・ニキビ跡
重症のニキビになるとアクネ菌の繁殖に加え、ブドウ球菌の炎症も起こります。こうして起こった炎症は、真皮層にまで達することで化膿して大きく腫れ上がり、「膿ニキビ」と呼ばれる最終形のニキビになります。ここまで進むと真皮層までダメージを受けるため、皮膚細胞が破壊されてしまいます。すると肌が弾力を保てなくなり、表面に凹凸やクレーターなどのニキビ跡が発生してしまうのです。
・老人性色素斑
もっとも一般的なシミで、誰にでもできやすいものです。日焼けや加齢が原因とされ、頬骨の高いところやこめかみなど焼けやすい部分に色素斑が発生します。茶褐色をしていて肌との境界線がはっきりしており、大きさは数ミリから数センチとさまざまです。30〜40代から目立つようになりますが、早いと10代でできることもあります。悪化すると数が増えたり大きくなったり、色が濃くなったりします。また、脂漏性角化症に発展する可能性もあります。
・肝斑
頬骨や鼻の下、額などにできる左右対称のシミが「肝斑」です。地図のような形をしていて赤みを帯びた黄褐色をしているのが特徴です。肝斑ができる原因には女性ホルモンが関係しています。30〜40代の女性に多く見られるものの閉経とともに緩和したり、ピルの服用や婦人科の病気によって誘発されたりすることがあります。通常の紫外線対策などではケアできない場合は、肝斑を疑ってみると良いでしょう。
・雀卵班(そばかす)
数ミリ程度の小さな斑点が、鼻を中心として左右対称に広がっているのがそばかすです。顔以外にも手や背中に生じることがあります。遺伝的なものであり、子どもの頃から発生する人が多く、時には成長するにつれて消えたりすることもあります。紫外線の影響を受けるため、春や夏の間に濃くなることがあるなど、季節によっても状態が変わります。老人性色素斑に比べると明るい黄褐色をしています。
・遅発性両側太田母斑
「太田母斑」が生まれつきできているシミであるのに対し、20歳を過ぎた頃にできる後天性のあざのことを「遅発性両側太田母斑」と呼びます。太田母斑は顔の片側にのみできますが、遅発性両側太田母斑は両側にできるのが特徴です。主に目や頰の周り、額などに生じ、初期段階では茶褐色をしていますが、症状が進むにつれグレー、青と変化していきます。生まれつき色素をつくる細胞が集まっていた箇所が、成人後に活発になることが原因です。その他、紫外線や肌の老化なども影響しています。
・脂漏性角化症
30代以降に見られるイボのような膨らみを持つシミのことで、「老人性いぼ」とも呼ばれます。老化現象のひとつです。顔や首、背中にできることが多いですが、手のひらと足の裏以外はどこにでもできる可能性があります。小さな盛り上がりになるものから飛び出たしこりになるものまで、形や大きさはさまざまで、表面が黒っぽくかさかさとしています。
■症状に合わせた治療法を見つけよう
一見似たようなシミやあざでも、治療法を間違えると悪化してしまうことがあります。それぞれに合った美容外科での治療法を見てみましょう。
・ニキビ跡の凸凹には「フラクショナルECO2」
レーザーを照射することによって皮膚の表面に目に見えない小さな穴を無数につくります。そして、その穴を再生しようとする創傷治療過程を利用してコラーゲンを形成し、肌を活性化させる機器です。ニキビ跡は真皮層までダメージを受けてしまったために起こりますが、最大2.5ミリまで到達するレーザーを使用しているため、肌の深い部分にまでレーザーを届けます。本機器はアジア人を意識してつくられたものであるため、黄色人種でも術後に色素沈着が起きないよう配慮されているのも嬉しいところです。レーザーを照射してから3〜10日ほどで皮膚の表面にできたかさぶたが剥がれ、下からは新しくきれいな肌が表れます。
・肝斑には「レーザートーニング」
通常のレーザーでは禁止されている、肝斑への照射を行うことができる特別な機器です。「QスイッチYAGレーザー」というレーザーを使用しており、肝斑の他、シミや色素沈着、刺青等の治療まで行えるため、美容外科以外に皮膚科や形成外科でも使われています。治療は1回あたりわずか10分ほどで、麻酔は不要です。パチパチとした刺激がありますが、治療後すぐにメイクをすることもできます。週に1回の照射を4〜5回続けることがおすすめです。回数を重ねるごとにメラニンの量が少なくなり、肌の透明感が増していきます。
・そばかすには「ライムライト」
日本人の肌に合わせて開発された光エネルギーを発する機器です。光エネルギーがメラニンに反応する仕組みになっており、従来のレーザーでは除去が難しかったそばかすや薄いシミにも対処できる点がポイントです。また、レーザーが局部的な照射をするのに対し、幅広い光エネルギーを顔全体に照射します。そのため顔のトーンを明るくしつつ、肌質のケアまで行うことができます。治療後はメラニンが浮き上がってくるため一時的にシミやそばかすが濃くなりますが、1週間ほどすると自然と剥がれてクリアな肌が表れます。
・脂漏性角化症には「CO2レーザー」
ホクロやイボをレーザーで除去するための機器です。脂漏性角化症によってできた膨らみも切除することができます。施術の際は該当箇所をレーザーで切り取るため、治療後にはイボやホクロがあった箇所に穴ができます。脂漏性角化症の場合は、照射後に肌が擦り切れたように赤くただれたようになります。1〜3日後にかさぶたができ、1週間ほどすると自然と剥がれます。すると下からピンクの肌が表れ、1〜3ヶ月すると赤みは薄くなってなじみます。肌質によっては茶色くなることもありますが、半年もすれば治ります。
・普段のお手入れには「トレチノイン」
シミのケアに有用なのが「トレチノイン」という成分です。トレチノインには皮膚の角膜を剥がして細胞を分裂させる働きがあり、これにより皮膚の再生スピードが4倍にもなります。通常6ヶ月かかるターンオーバーが6週間になるという計算です。使用後2〜3日すると塗布した部分の肌が赤くなり、皮膚が剥けてきます。その間にシミが薄くなるという仕組みです。使い始めの1〜2週間は肌の状態が一時的に悪化しますが、2〜3ヶ月すると緩和されます。自宅で、自分で塗るだけなので、治療に不安を感じている方にも向いています。
■シミは日常生活の中で予防できる
シミにはさまざまな種類や治療法があることをご紹介しましたが、日々の中で予防をすることも可能です。メラニンが大きく影響していることから、日焼け止め対策を万全にしておくことを意識しておきましょう。
保湿をすることでメラニンの過剰形成を抑える、日焼けをしてしまったら冷やして肌を沈静化するといった簡単なケアを行うだけでも、シミができにくくなります。
また、ストレスを溜めないこともシミや肝斑を防ぐためには大切です。まずは日々できることから始めてみましょう。
■まとめ
シミと言っても、種類によって美容外科で使用できる機器とできない機器があることがわかりました。また、塗り薬でケアすることもできるなど、自分の状況に合わせた治療を選ぶことも可能です。
自身のシミ・ニキビ跡の状態と照らし合わせながら治療法を検討してみてはいかがでしょうか。
普段のスキンケアでは対処しきれないシミやニキビの跡にお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
美容外科の力を借りて治療することができますが、その際に大切なのが自分の肌の悩みに合わせた治療法を選ぶことです。今回はシミやニキビ跡の種類と、悩み別の治療法をご紹介します。