■二重の美容外科手術「切開法」について
■まぶたの脂肪とは?
切開法を行う際には、必要に応じてまぶたの脂肪除去が行われます。そのため、まぶたが分厚いことに悩んでいる方が希望するケースも多く見られます。一口にまぶたの脂肪と言っても、実際は数種類の脂肪によって構成されていて、除去する脂肪の種類によって仕上がりにも影響があります。次にまぶたの脂肪の種類について見てみましょう。
上まぶたの脂肪には、主に「眼窩脂肪」「ROOF」「皮下脂肪」の3つがあり、表面から奥に向かって、皮下脂肪、ROOF、眼窩脂肪の順に位置しています。皮膚のすぐ下にあるのが皮下脂肪で、その奥にROOFがあります。さらにその奥に眼球が収納されている「眼窩」と呼ばれる組織があり、そこで眼球を囲んでいるものが眼窩脂肪です。眼窩脂肪は、目の裏で上まぶたから下まぶたへとつながっています。
全切開法の場合は、眼窩脂肪、ROOFともに切除することができます。しかし部分切開の場合は切開線が短いことから、眼の上の方に位置するROOFまでは切除できません。また、全切開法の場合はまぶたの皮膚を切除することもできますが、こちらも部分切開では物理的に行うことができません。ただし、皮下脂肪に関しては部分切開、全切開のいずれにおいても切除することができないので、切開法を行った数ヶ月後に、改めて脂肪溶解の注射を打って除去することになります。
■脂肪除去はリスクが大きい
前述の通り、まぶたの厚みを修正するには、3種の脂肪と皮膚の切除が考えられることがわかりました。しかし、必要のない部分を切除してしまうと希望する仕上がりにならなかったり、その後のまぶたの状態に影響を及ぼしたりすることがあります。まずは自分のまぶたの厚みの原因を理解したうえで、それに応じた施術計画を立てることが大切です。
実際にまぶたの厚みは脂肪以外のことが原因となっている場合が多く、脂肪切除をしても対処できないケースが多々見られます。また、まぶたの脂肪や腫れは次第に緩和されるものなので、気になったからと言ってすぐに切除してしまうのはおすすめできません。加齢とともにまぶたはくぼんでいく性質があるため、若いうちに切除してしまうと後々まぶたのくぼみが一層深刻になってしまうことも考えられます。老けて見えることからも注意しておきたいところです。
■まぶたの厚みの原因を見極める方法
では、まぶたの厚みが脂肪なのかそれ以外の原因なのかを見極めるには、どうしたら良いのでしょうか。切開法における脂肪除去には眼窩脂肪とROOFの切除が考えられますが、眼窩脂肪に関しては脂肪量が多いのかどうかを見分けることができます。
血液は心臓から頭へと流れるため、起きている間は重力に逆らって流れることになります。しかし寝ている間は心臓と頭の高さが同等になるため日中に比べると流れやすくなり、血流がよくなります。すると眼窩脂肪が水分を吸収し、朝起きた時にはまぶたが腫れた状態となるのです。起きている間に貯まった水分は次第に減り、午後になるとむくみが取れて目元がすっきりするという仕組みです。そのため、朝のむくみがひどく、午後になると取れてという方は眼窩脂肪が豊富だと言えるでしょう。
しかし、眼窩脂肪は非常に柔らかいため、眼窩脂肪のみを抜いたところでまぶたの厚みが一気に薄くなるということは考えづらいでしょう。将来の目元のくぼみを考えると、眼窩脂肪を切除するメリットはあまりありません。
また、ROOFの切除をすれば厚みが薄くなるということも考えづらいです。眼窩脂肪が目の奥の方にあるのに対し、ROOFは皮下の浅い部分にあるのが特徴です。そのため、施術による影響が出やすくなるのです。人体は、傷ができると「瘢痕」と呼ばれる癒着を起こしながら修復していきます。そのため、皮下の浅い部分に瘢痕ができると、二重のラインが不自然になってしまう場合があるのです。
一方、皮膚の切除を希望する方には「アイプチやアイテープのやりすぎで皮膚が厚くなってしまった」という方が多く見られますが、これも本当に皮膚が厚くなっているわけではないので注意しましょう。ほとんどはアイプチなどのかぶれによって皮膚が分厚くなってしまっているというケースです。無理に皮膚を切除してしまうと、皮膚が折れ曲がって二重のラインが不自然になったり、後々二重のラインを修正したいと思っても、切除する皮膚がないため対応ができなくなってしまったりするというリスクが考えられます。皮膚を切除しすぎるとまぶたが閉じられなくなるという事例もあるので注意が必要です。
また、まぶたが厚い人の傾向として、まぶたの上の方が厚く、下の方が薄いという点が挙げられます。しかし、まぶたの皮膚を切除する場合は下の方の皮膚を切除することになります。すると、上の方と下の方とで厚みに差が出てしまい、上の方の皮膚が二重のラインを覆ってしまうこともあります。
■医師と相談し自分に合った二重にしよう
脂肪除去ができるという理由から切開法を選ぶ方が多くいますが、上記のように仕上がりに影響を及ぼすデメリットもあるので注意しましょう。また、近年は幅広の二重を希望する方が多くいますが、まぶたが分厚い人が無理に二重の幅を広くすると逆に分厚さや傷跡が目立ってしまうことがあります。
愛らしい目元を求めて施術をしてもまぶたが折れ曲がることできつい印象になってしまうこともあるので、何より自分に合った二重にすることが大切です。
しかし中には、よく原因を確かめもせずに脂肪や皮膚の除去を勧めてくる医師がいるのも事実です。さらに悪質な場合は、脂肪を取るという前提で施術を進めておきながら実際には取っていないというケースもあるようです。そうした事態を防ぐためにも、まずはまぶたの厚みや切除するリスクについて知っておくことが大切です。そして、原因を一緒に探してくれる医師を見つけ、施術計画を立てることから始めてみてはいかがでしょう。
二重まぶたにする美容外科手術には、「埋没法」と「切開法」があります。埋没法は、メスを使わずに二重にすることができる施術方法です。特殊な細い糸をまぶたの裏側に通して、希望する二重のラインに合わせて留めるだけです。施術はわずか10分前後で済み、手術の当日からシャワーや洗顔などを行うことができます。
二重にする美容外科手術を受ける際に、まぶたの脂肪の除去を一緒に希望する方が多く見られます。しかし、脂肪の除去を行ったとしてもまぶたの厚みが改善されない場合があることをご存知でしょうか。今回は、まぶたの脂肪除去のリスクについてご紹介します。
手術後2〜3日は強い腫れがでることもありますが、その後は通常通りアイメイクをしても問題ありません。また、糸を留めてあるだけなので、もし元に戻したくなった場合もすぐに対応することができます。しかし、時間の経過とともに糸が出てきてしまったり二重のラインが消えてしまったりしたという事例も見られるので、術後は注意が必要です。
一方の切開法は、その名の通りメスを使ってまぶたを切開する方法です。希望する二重のラインに沿って1.5〜2㎝ほど切開する「部分切開」と、まぶたの端から端までを切開する「全切開」があります。いずれも、切開した後に必要に応じてまぶたの内側にある脂肪を除去し、皮膚と腱膜を縫い合わせて二重を形成します。
切開することから、埋没法の施術をしたものの元に戻ってしまったという方が希望するケースも多く見られます。ただし、切開をするため施術時間は20〜30分と埋没法に比べると時間がかかり、体質によっては術後1〜2週間は強い腫れが続くことがあります。