第59回 日本形成外科学会総会 2016/04/13-15
一般演題:鼻孔縁を下げる手術の患者の満足度
目的:正面で鼻の穴を見えなくしたいという希望に対して手術を行った患者の満足度を調査した。
方法:過去5年間に鼻孔縁を下げる目的で手術を行った症例のうち、1ヶ月以上の経過観察ができた症例46例を対象に術前術後の写真と患者の訴えを後ろ向きに調査した。
術内容は鼻中隔延長術とcomposite graftの併用が10例(うち片側手術が4例)、composite graft単独が32例(うち片側が7例)、rim graftと鼻腔のV-Y advancement flapが3例、鼻翼rotation flapが1例であった。
結果:全例において鼻孔縁を下げる結果は確認できた。
中隔延長術とcomposite graftの併用例で術後に不満を訴えた症例はなかった。
Composite graft単独で行った症例のうち、16例とV-Y advancement flapの1例とrotation flapの1例が術後に不満を訴えた。
不満の内容は鼻翼の横幅の拡大が7例、鼻尖が太くなったが6例、移植軟骨による鼻孔縁の凹凸が1例、鼻翼縁の肥厚が1例、composite graftのびく右側への突出が2例、鼻翼下降の不十分が1例であった。
そのうち6例にはcomposite graftを取り除く手術を行った。
考察:鼻孔縁を下げる手術法として、composite graftやrim graftやrotation flapはいずれも適している。
しかし、鼻孔縁が下がることに加え、正面像で鼻翼の外側への張り出しが強くなる、また、鼻尖の幅が太くなるという効果が発生する。
患者がこれら第二の効果を好ましいと受け入れてくれるならばよい。しかし、患者にとって好ましくない場合は鼻孔縁を下げる手術は不満を招くことになる。
composite graft単独 (うち片側が7例) |
32例 |
composite graftと鼻中隔延長術の併用 (うち片側手術が4例) |
10例 |
rim graftと鼻腔のV-Y advancement flap | 2例 |
rim graftとV-Y flapと鼻中隔延長術の併用 | 1例 |
鼻翼rotation flap | 1例 |
結果
全例において鼻孔縁を下げることは確認できた。
片側例(composite単独4例、compositeと延長併用7例)はすべて満足
鼻中隔延長術とcomposite graftの併用例で術後に不満を訴えた症例はなかった。
結果
術後に不満を訴えた症例
・Composite graft単独を両側に行った25例のうち16例
・V-Y advancement flapの3例のうち1例
・rotation flapの1例のうち1例
結果
術後の不満内容
♢ 鼻翼下降の不十分が1例
♦ 不満の内容は鼻翼の横幅の拡大が7例
♦ 鼻尖が太くなったが6例
♦ 移植軟骨による鼻孔縁の凹凸が1例
♦ 鼻翼縁の肥厚が1例
♦ composite graftの鼻腔側への突出が2例
♘ そのうち6例にはcomposite graftを取り除く手術を行った。
まとめ
鼻尖の幅が太くなる。
正面像で鼻翼の外側への張り出しが強くなり、ブタ鼻が牛の鼻になる・・注意必要