第36回日本美容外科学会総会 東京 2013/10/17-18
インターナショナルパネル: current advancement of Oriental rhinoplasty
シンポジウム: 美容外科におけるメディカルツーリズム;海外顧客取込みのための努力
美容外科のクリニックの数が増加しているため、患者が分散し、各クリニックの来院患者数は減少する傾向にある。国内からの患者供給に頼っているだけでは、クリニックの生存が危ないという危機感を感じる。
昨年度のヴェリテクリニックの収支をみると、売り上げ全体の1割りを黒字として計上することができていた。注目すべきは、総売上の2割が海外から、というより、ずばり、中国人患者によるものであった。もし、中国富裕層を受け入れていなかったら、赤字転落間違い無しという現実に驚いた。
クリニックの増加が日本よりもすさまじい韓国では、海外からの患者を獲得しなければ生きていけないという機運が何年も前からすでに高まっている。
私が個人的に交流のある韓国のクリニックでは、海外からの患者の売り上げに相当依存している。彼らをお手本にして、我がヴェリテクリニックも外貨獲得にますます力を注ぐ必要があると感じた。
そこで、ソウルにある美容クリニックを訪ねて、海外患者獲得のための戦略を直接教授してもらった。それを今回は皆さんと共有するために報告する。
一般演題:わし鼻形成を目的とした隆鼻術
ヴェリテクリニック
福田慶三、室孝明、大橋菜都子
わし鼻になりたいという希望をもって隆鼻術を受けた症例について報告する。
■ 方法
過去2年間に隆鼻術を受けた症例のうち、わし鼻、すなわち、鼻背の輪郭が前方に凸に盛り上がったラインを希望した症例は28例あった。
使用した隆鼻材料は、ゴアテックスが12例、シリコンが2例、肋軟骨が2例、注入剤が10例であった。
注入によるわし鼻形成では、鼻背が凸のラインになるように鼻背中央部分に多く注入して形を整えた。
プロテーゼや軟骨では、鼻背の上1/3から2/5の部分が盛り上がるように挿入物を作成した。
鼻根部と鼻尖上部を結ぶ直線に対してこぶの部分が2から6ミリ盛り上がるようにデザインした
■ 結果
注入剤によるわし鼻形成では注入直後はわし鼻の輪郭を作成することができたが、半年後にわし鼻の輪郭が保たれていたのは2例に過ぎず、8例では鼻背の輪郭はストレートになっていた。
軟骨やプロテーゼを用いた症例では、9例がわし鼻になっていたが、7例ではストレートの輪郭になっていた。
2ミリ程度の盛り上がりを作った症例はわし鼻にならなかった。
■ 考察
日本人のわし鼻修正では、ハンプを削る厚みは大半の症例で1ミリか2ミリ程度である。
このことから、わし鼻を作るためにはプロテーゼの中央を2ミリほど厚くすれば十分と考えていた。
しかし、今回の研究の結果、プロテーゼの中央を2ミリほど盛り上げてもわし鼻を作ることができないことが分かった。
わし鼻形成は容易でないという印象を受けた。
感謝状
シンポジューム演者とパネル座長の感謝状