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創傷外科学会 神戸 2010/7/30-31

美容外科のきずあとベストプラクティスのパネルディスカッション

発表内容の詳細 : 「許されるきずあとと許されないきずあと 」

われわれ形成外科医は皮膚にできたきずあとが消えないことを知っています。

そして、きずあとを作ることは悪であるという思いに囚われています。そのため、きずあとが隠れるように切開線の選択に悩みます。

例えば、上瞼のたるみをとるために上眼瞼リフトという手術をする場合、傷をどこまで延ばしていいものか悩みます。

形成外科のトレーニングをした医師なら、眉毛の下に隠れる範囲にとどめるべきだと考えます。

眉毛からはみださないように皮膚を切り取るだけでは、目頭や目尻のたるみが残ってしまうことがあります。

目頭側のたるみを十分に取らないと、目尻がつり上がった目になります。反対に目尻のたるみを取り残すと、タレ目になります。

術者がきずあとは悪であると思いに囚われて、切開を十分延ばさなかったために、患者さんは恐ろしいつり目になったといって苦しむ結果になります。

眉毛からはみ出したきずあとは時間がたって赤みが消えれば、目立たなくなります。

もちろんきずあとが消えることはありませんが、ほとんどのきずあとは患者さんに受け入れていただけます。

美容外科は切開を加えて形を整える手術治療であり、きずあとができても容姿が変わればいいと患者さんは理解しているように思います。

しかし、中には 美容外科の手術の後で、きずあとに不満を訴える患者さんがいらっしゃいます。

手術の結果、明らかにきれいになった、若くなった、ある程度希望していた結果になった場合には、患者さんは傷跡を許してくれます。

しかし、手術を受けたのに全然変わらなかった、希望する形と全く違う結果になった、手術の後かえって醜くなったとか老けたという場合には、患者さんはきずあとを許してくれません。

たとえ、手術でできたきずあとが他人からみてほとんど分からないほどきれいに治っていても、そのきずあとを許せないようです。

許せないどころか、きずあとを憎むようになります。

そんな悲しい結果にならないために、われわれ美容外科医は患者さんの希望する結果が出るように手術をしなければなりません。

わたしは美容外科医として、患者さんを傷つけ、患者さんによって救われ、患者さんによって育てられているとつくづく思います。

【許されるきずあとと許されないきずあと 】発表風景

【パネルディスカッション】