第52回日本形成外科学会総会 Part2 横浜 2009/04/22-24
外見美へのこだわりと私の基準
顔の美しさを引き立てるのに大切なのは何か。
顔の一部を覆い隠してみると大変魅力的に見えることに驚かされる。
これはどういうことかというと、欠点と思われる部分を消し去ることで、欠点のない部分だけが残って美しく見えるわけである。
すなわち、欠点がない顔が美しいと私は考える。
この概念に基づいて、私は患者様を前にした時、その方の顔の中で、隠すことによって全体の美しさが引き立つ部分を探し出す。(スライド1,2)
(スライド1)
(スライド2)
この方法で認識できた欠点の部分をどのように修正するのかが次の問題となる。(スライド3,5)
(スライド3)
(スライド5)
それに対する私の姿勢は、「いいかげん」にすることである。
これは、適当にするということではなく、大きくもなく、小さくもなく、高くもなく、低くもなく、遠くもなく、近くもなく、中道という意味のいいかげんである。
(スライド6)
(スライド6)
すなわち、欠点である部分が主張しないように存在感のないものにすることである。(スライド7,8)
(スライド7)
(スライド8)
私の美へのこだわりは欠点を明らかにし、それを直す時には「いいかげん」にするである。(スライド9)
(スライド9)
それでは、私の美に対するこだわりは実際の臨床現場でどのように生かされているか。せいぜい、患者様の希望が定まっていない時に提示するアドバイスの指針として役に立つぐらいのものである。(スライド10)
(スライド10)
実際には、患者様は具体的な希望を持っていらっしゃることが多い。
たどえば、この女性は叶美香さんが大好きで鼻やフェイスラインは叶美香さんのようになりたい、でも、唇はなぜか叶恭子さんのようになりたい。
(スライド11)
(スライド11)
私の主観的なこだわりなどを患者様に押しつけてはいけない。というのは、美容外科医たる者、患者様の満足する美を作り上げるのが務めである。
(スライド12)
(スライド12)
たとえ、標準的に見ると行き過ぎといえる希望も、その患者様にとっては「いいかげん」なのであろうと私は素直に受け入れて施術をさせていただいている。(スライド13,14,15)
(スライド13)
(スライド14)
(スライド15)
下の写真(スライド16)の女性は過去にL型プロテーゼを使った隆鼻術を受けている。
笑うとプロテーゼの角が飛び出しそうなぐらい鼻先が異常に尖っているので、それを修正する相談にいらっしゃいました。
希望を訪ねるとマネキン人形のように尖ったシャープな鼻先でアップノーズになりたいということでした。
今現在、鼻先が尖りすぎているというのにまた何で次も異常に尖った鼻先を希望されるのか疑問に思いますが、やはり患者様の希望する美を作り上げるのが私の務めである。(スライド16)
(スライド16)
標準的に見ると行き過ぎといえる希望も、その患者様にとっては「いいかげん」なのであった。(スライド17.18)
(スライド17)
(スライド18)
しかし、1年後にはやっぱり鼻先が尖りすぎているから修正したいと希望されました。患者様の美に対する物差しも無常であることを教えていただきました。(スライド19)
(スライド19)
鼻先が目立たなくなるように修正させていただきました。(スライド20)
(スライド20)
美に対する「いいかげん」の物差しは各自が勝手に持っている。(スライド21)
(スライド21)
私にとっては患者様が施術の結果に満足した顔を見せてくださることが美容外科冥利に尽きる瞬間である。