第26回日本頭蓋顎顔面外科学会、盛岡 2008/10/16-17
パネルディスカッション「顔面の美容―診断のプロセスと方法」
■ 上端と下端の位置を考慮した隆鼻術の手術ビデオ
隆鼻術の目的は鼻背を高くして鼻筋を通すことである。美しい鼻の輪郭を作るためには、隆鼻の上端(鼻根部)と下端(鼻尖)に対して、前方への突出(projection)と上下の位置を考慮しなければならない。
隆鼻の下端をどこまでにするのかは鼻尖のprojectionが十分かどうかで判断する。
鼻背と鼻尖の両者のaugmentationが必要な症例にはL型のシリコンプロテーゼを用いるのが一般的であるが、L型プロテーゼでは鼻尖の頂点の位置が頭側にずれることが問題である。
私は鼻尖の位置を正確にコントロールするため、鼻背のプロテーゼの下端はsupratipまでとし、鼻尖に対してはそれとは別の物を用いている。
鼻尖にわずかなaugmentationを必要とする例では耳介軟骨かPTFEを鼻翼軟骨の中間脚の上にonlayする。
鼻柱の延長と鼻尖の頭側移動が必要な例ではcolumella strutを用いる。鼻尖が頭側にずれるのを防ぐ、あるいは、鼻尖を下方へ伸ばしたい時には鼻中隔延長術を用いている。
隆鼻の上端をどこまでにするのかは、下端の位置に劣らず重要である。隆鼻術は鼻背を高くして鼻筋を通すが、鼻根部(nasion)の位置は頭側に移動する。
そのため、nasionの位置が低い症例では、鼻筋が頭側に伸びて短鼻が修正される。しかし、nasionの位置が正常か、高い症例では鼻が長くなりすぎる。
これに対し、glabella augmentationでは、nasionを尾側に移動する効果がある。
glabella augmentationはヒアルロン酸注入による方法が簡便である。長期的な方法を希望する症例に対してはシート状のPTFEを重ねてからトリミングした隆鼻材を用いている。
今回は最近よく施術している鼻中隔軟骨を用いた鼻尖形成術(鼻中隔延長術)とPTFEを用いた鼻背から眉間までのaugmentationの手術をビデオにて供覧する。