第29回日本美容外科学会、横浜 2006/10/8-9
鼻中隔延長術
目的:
短鼻やcolumella retrusionや鼻尖のprojectionが不十分なのは大鼻翼軟骨を支持する鼻中隔軟骨の低形成が原因であるとわれわれは考え、鼻尖を下方や前方へ伸ばすのに鼻中隔を延長する手術を行っている。
鼻中隔を延長する材料として鼻中隔軟骨・耳介軟骨・肋軟骨が選択できる。今回の発表では肋軟骨を用いた鼻中隔延長術の手術手技を供覧する。
方法:
第7肋軟骨を採取し、正中面に沿って2分割して約1mmの板状軟骨片を2枚作成する。鼻柱中央にW切開を用いたopen rhinoplastyで大鼻翼軟骨と鼻中隔軟骨を展開する。
2枚の肋軟骨片が鼻中隔軟骨と10mm以上オーバーラップするように鼻中隔軟骨を挟んで固定し、鼻中隔を前下方へ延長する。継ぎ足した軟骨の下縁に大鼻翼軟骨の中間脚と内側脚を縫合する。
結果:
63例に肋軟骨を用いた鼻中隔延長術を施行した。延長できる量は軟部組織、特に粘膜の伸展性によって決定された。術後は鼻尖を左右に動かすことはできるが、上下への可動性は全例でなくなった。
その他に、斜鼻変形、高すぎる鼻尖、長すぎる鼻、鼻尖の角張り、太い鼻柱といった問題が見られた。これらは延長方向の正しい選択や耳介軟骨をonlay graftに用いることや、大鼻翼軟骨の間に挟まれる軟骨片を薄くするといった手技の改良によって対処できるようになった。
考察:
鼻中隔軟骨や耳介軟骨を用いた症例では、採取できた軟骨片の大きさが足りなかったり、軟らかく過ぎたりして、十分な延長を得られないことがあった。これに対し、肋軟骨では十分な強度と大きさを得ることができ、軟部組織が伸びる限り、鼻尖を伸ばすことができた。